仰臥位低血圧症候群とは?病気と妊娠中の仰向け寝の関係
妊娠が仰向けに寝ることは体に良くないと言われています。といっても私は仰向けでしか寝られない!という人もいるでしょう。ではなぜ仰向けに寝ていけないのでしょうか?会妊娠中の仰向け寝と仰臥位低血圧症候群の関係についてご説明いたします。
このページの目次
妊娠中に仰向けで寝てはいけない理由
妊娠も後期になると立って苦しく、座ってつらく、横になっても楽にならない。とてつもなく大変な時期です。おなかに3000g近い赤ちゃんとその生命維持に必要なものが、すべておなかに詰まっているのですから、重いのです。
妊娠後期になると仰向け寝でないと眠れない人も、寝苦しくて目を覚ますようになると思います。というのも、大きくなった子宮が背骨の右側にある下大静脈を圧迫するようになるからです。
寝ていて、息苦しくなった、動機が激しくなったという経験はありませんか?
簡単に言えば、下大静脈が圧迫されたので心臓へ血液が十分に戻らなくなったのが原因です。この状態はよくホースで水を撒くときにホースを途中で踏んづけた状態にたとえられます。
ホースの先へは水がいかないように、心臓へ血液が少ししか戻らなければ、心臓からも少ししか血液が出ていきません。その結果低血圧になってしまうのです。低血圧になると母子ともに循環する血液量が減ってしまいます。
仰臥位低血圧症候群とその対処方法
妊婦が仰向けて寝ていて、急激に血圧が低下することを仰臥位低血圧症候群と言います。
仰臥位低血圧症候群になって本当に怖いのは、妊婦が低血圧になった結果、失神してしまうことです。ママが失神するとおなかの赤ちゃんにも酸素がいかなくなり、酸欠になってしまいます。これが長時間続くようだと赤ちゃんに障害が残る可能性があります。
たかが仰向けに眠ることが、これだけの事を引き起こすとなるのであれば、仰向けに寝るのを辞めた方がいいと言われるもの当然ですね。
でももし仰向けに寝ていて、突然気分が悪くなったらどうすればいいでしょうか?
実をいうととても簡単なのです。
左側を下にして寝てください。
ただこれだけなのです。元々仰向けで寝たことで下大静脈が圧迫されていたのが原因ですから、圧迫されないように体の位置を変えれば、症状は改善します。
また右腰に枕や畳んだタオルなどを当てて横になっても症状は改善します。肝心なのは、下大静脈が圧迫されないようにすることです。
妊婦が仰向け以外で寝やすい寝方とは?
シムスの体位が妊婦におすすめとされています。
シムスというのは19世紀のイギリスの産婦人科医の名前です。この体位は元々意識不明の患者の気道確保のための体位です。
左側が下になるように横になります。気持ちうつ伏せに近い程度です。ポイントは手足の位置です。左側の手と足は後方に、右側の手と足は前方に出して、少し曲げるようにします。
実際やってみるとわかりますが、結構不自然な体制なので、これで楽になるのかなと疑問に思う人もいると思います。クッションや抱き枕を使うと姿勢が安定して楽になりますが、やはり心地よさを感じるまでいくかは個人差があります。
もし落ち着かない、寝心地が悪いとかんじるのであれば、無理にする必要はありません。横向きで寝ていても、仰臥位低血圧症候群は防止できます。ただ右を下にして寝るのは避けた方がいいでしょう。
また妊婦は妊娠後期となると浮腫みやすくなりますので、足枕や着圧ソックスなどを着用すると浮腫みが改善されるのでオススメです。
妊娠で仰向けに寝ていいのがいつまで?
個人差がありますが、妊娠後期は避けた方がいいでしょう。
妊娠初期はまだおなかも大きくないので、仰向けで寝ても問題ありません。妊娠中期となるとどんどん胎児が大きくなります。仰向けで寝てつらいなあと感じたら、妊娠中期でも仰向け寝を避けた方がいいでしょう。
でも仰向けでないと眠れないという人は、前述したように下大静脈を圧迫しないようにすればいいので、背中にクッションやタオルなどを丸めて入れることで仰臥位低血圧症候群が予防できます。
仰向け寝は死産になりやすいという説もあります。これもある研究結果がもとになっていますが、実際のところサンプル数が少ないため因果関係があるとは明確には言えません。そのため、仰向け寝したことで胎児が死産になるわけではありません。死産となる要因はたくさんあります。
ただし、仰臥位低血圧症候群となった場合は、胎児に影響が出る可能性はありますので、仰向けでなくても寝られる人は、仰向け以外で寝た方がいいでしょう。
妊婦が仰向けのとき、胎児の状況は?
妊娠初期というのは、つわり以外に赤ちゃんを妊娠したという事を実感する人は少ないでしょう。おなかに赤ちゃんがいると実感するのは、やはり安定期に入り胎動を感じてからです。
胎動を初めて感じた時は感動しますよね。
しかし、妊娠後期になると、赤ちゃんいつになったら寝るの?と疑問に思うくらい胎動しっぱなしになる事も。ちなみに赤ちゃんは夜に活動するそうなので、妊婦が寝ようとすると、ママのおなかを蹴ったりパンチしたりし始めます。
ママが仰向けで寝ると赤ちゃんもおなかの上でグターをしているイメージで辛いのでは?と心配なる人もいますが、実際赤ちゃんは羊水のプールの中でプカプカ浮いているので、ママがどんな姿勢で寝ても、大差はありません。
赤ちゃんがつらいと思うのは、羊水や酸素が少なくなる事、子宮内で動きが取れなくなることです。ママの子宮が下がってしまったりすると、子宮内で身動きが取れなくなるとやはりつらいようです。
赤ちゃん苦しいと感じると胎動が弱くなります。つまり、イラっしたり、睡眠の邪魔になったとしても胎動が強いのは赤ちゃんが元気な証拠です。生まれるまでこの胎動を楽しみましょう。