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産後の女性の貧血 検査結果のどの数値に着目すべきか

   

産後の女性の貧血 検査結果のどの数値に着目すべきか

どんなに普段健康であったとしても、産後の女性はどうしても貧血に陥りやすい状況になってしまいます。

これを放置すると、その後の健康に大きく関わりますから、十分注意しなければなりません。

もし産後の貧血が疑われる時は、どんな検査をすべきか、またその結果の、どの数値を見ればいいのでしょうか?

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とっても怖い産後の貧血! 何がどんな数値だと要注意なの?

妊娠、出産を経た、産後の女性の体は、とても疲れきっている状態。

しかし赤ちゃんは待ってくれませんから、ボロボロの体に鞭打って、何とか育児をこなしている…という人も少なくないでしょう。

ただ、産後の、特に”産褥期”と呼ばれる時期に無理をしてしまうと、その後の生活において、大きな影を落とす可能性が高くなります。
 

そうした産後の女性が感じる不調の中で、目立って多いのが貧血や目眩といった症状です。

元々貧血の要素を持っていた人のみならず、妊娠・出産前まで健康だった人でさえ、こうした症状を感じやすくなります。

それは何故なのでしょうか?
 

産後に起きる貧血の一番の原因は、やはり出産時の出血のせいです。

他にも、母乳育児をしている人であるならば、それが原因にもなりますし、子育ての不安、環境が変わったことへのストレス、ゆっくり休めないために蓄積されていく疲れ…と、様々な要因が挙げられます。
 

「どうせ一過性のもの」とは、どうか考えないで下さい。

先に述べた通り産褥期の無理は、その後の健康を脅かしてしまいますし、”その時限り”ではなくなってしまう可能性も孕んでいるからです。
 

では、産後、体の何が、どの程度の数値であれば貧血と判断され、どんな治療が必要になるのか見てみましょう。
 

貧血にも種類があった! 産後になりやすい貧血はどんなもの?

そもそも、実際に病気としての”貧血”とは、どんなものなのでしょうか?

貧血とは、”血液中の赤血球数(または赤血球に含まれるヘモグロビン:酸素を全身に供給するための成分)が基準値よりも少なくなっている状態”を指す病気です。

つまり”体中に必要な酸素が供給できていない状態”であることを示します。

貧血にも種類があり、以下のように分類されます。
・失血性貧血
 怪我や病気、手術などで、体を巡る血液自体が失われてしまうことで起きる貧血。

 一気に血液を失う”急性失血性貧血”と、徐々に血液を失う”慢性失血貧血”に分けられる。
 

・鉄欠乏性貧血
 赤血球の元になる鉄が不足し、赤血球の数が減ってしまうことで起きる貧血。
 

・悪性貧血(巨赤芽球性貧血/ビタミンB12/葉酸欠乏性貧血)
 血液を作るために必要なビタミンB12、あるいは葉酸が不足して、血液が必要量生産できなくなっていることで起きる貧血。
 

・再生不良性貧血
 血液を生産する骨髄の能力(造血機能)が低下し、血液中の成分が足りなくなる。

 国から難病指定されている病気でもある。

・溶血性貧血
 赤血球が通常の10分の1ほどの短期間で壊れてしまう病気。

 脾臓が何らかの原因により腫れてしまう、自分の免疫が誤作動を起こし、自分の赤血球を壊してしまう等、別の疾患が原因になる場合がある。
 

この中でも、産後の女性が陥りやすい貧血は失血性貧血と、鉄欠乏性貧血の2種類です。
 

どうして産後の女性が貧血になりやすいのか

出産後、母子手帳などを見ると、分娩時にどの程度の出血量があったのか書かれているかと思います。

実際、どんな出産方法でも出血は起きるものですし、胎盤早期剥離、多胎妊娠、帝王切開などの場合には更に出血量が増えます。

こうしたことが原因となり、失血性貧血(急性失血性貧血)が起きてしまうのです。
 

加えて、体の中の血液が足りなくなると、体は自然に血液を増やそうとするのですが、この時、必要なだけの鉄分が少ないと、失っただけの赤血球を作ることが出来なくなります。

そうなると、今度は鉄欠乏性貧血が起きてしまいます。
 

だからといって、出産前に過剰に鉄分を摂取して出産に備えようとしても、体内で鉄分を”健康なまま”貯蓄できる量は限られています。

これを超えて摂取してしまうと、”鉄分過剰摂取”という疾患に陥り、重大な病状――重度になると命に関わる症状を引き起こす可能性があるため、有効な手段ではありません。
 

つまり、どんなに健康な人であっても、出産に際しては、程度の差こそあれ、失血性貧血と鉄欠乏性貧血がついてくる可能性がある、と言えるのです。
 

更に言うならば、赤ちゃんに与える母乳も、お母さんの血液を元にして作られています。

ですが、貧血――血液が足りない状態では、赤ちゃんが満足する分の母乳を作ることが出来ません。

ですから、産後の女性は、貧血としっかり向き合う必要があるのです。
 

産後の貧血を放置すると、子宮が戻りにくくなる?

産後の女性の貧血は、産褥期からの回復に、大きな影響を及ぼします。
 

様々な問題がありますが、後々にまで影響を与えるのが”子宮復古不全”と呼ばれる症状です。

妊娠中、赤ちゃんの成長に合わせて大きくなっていた子宮は、出産後、1ヶ月〜1ヶ月半の時間をかけて、ゆっくりと元の大きさに戻っていきます。

ですが、産後に貧血が続いたり、妊娠中に子宮が大きくなりすぎた、子宮筋が披露している、何らかの合併症がある――といった場合、この収縮運動が上手く働かなくなってしまうのです。
 

子宮復古不全を放置すると、悪露が続く、子宮に残った胎盤片などの排出が起こらずにポリープになってしまう、産褥熱や細菌感染といった症状を引き起こす可能性が高くなります。

同時に、本来ならば治まる筈の悪露も続くのですから、貧血の症状もより悪化していくという、まさに悪循環が起きてしまいます。
 

このような状態では、体は自分の生命機能を保つのに精一杯になり、赤ちゃんを満足させるだけの母乳が作られなくなるばかりか、自身の免疫力が低下してしまい、感染症に罹りやすくなってしまいます。

本来ならば、退院前、そして一ヶ月検診の際に、子宮の収縮が正常に行われているかの診察を受けることになりますが、退院後も、熱が下がらない、出血性の悪露が続く場合には、検診前に診察を受ける必要があります。
 

実際、貧血だとどんな検査をするの?どの数値を見ればいいの?

貧血かどうかを調べるには、やはり血液検査を行うことになります。

通常、少量(3ml)の血液を静脈から採取して、この中にどれだけヘモグロビンが含まれているかを検査します。
 

血液検査の表を見ると、血液に含まれる成分がそれぞれ項目としてありますが、貧血検査において特に注目したいのが”ヘモグロビン量”もしくは”血色素量(Hb)”という値の欄です。(これは名称が違うだけでどちらも同じ項目です)
 

成人女性の場合、”12g/dl”( 1デシリットル中、12グラム の意)未満であると貧血とみなされます。

そして妊娠中・産後の場合は、その体質上、”11g/dl”未満が貧血だと診断されます。

この数値が低くなればなるほど、貧血の度合いが悪いことを意味します。
 

また同時に、”赤血球数”及び”ヘマトクリット”の値も、どの種類の貧血であるのかを知るために、重要な項目になっています。

ヘマトクリットは、聞き慣れない言葉ですが、これは”血液にどの程度の赤血球が含まれているか”という項目です。

健康な女性であれば、この数値が”35〜47%”の範囲内であり、低くても、高くてもいけません。
 

もし、これ等の値が基準値の範囲に入っていなかった場合には、更に血液などの精密検査を行い、本当に貧血なのか、それとも別の要因なのかといった診断が行われます。
 

産後の貧血の治療法にはどんなものがあるのか

血液検査の数値が悪く、貧血と診断された場合には、どんな治療が必要になるのでしょうか?
 

出産時に大量の出血が起きたことによる急性失血性貧血の場合には、入院中に輸血、造血剤の投与などの処置が行われることもあります。

(前置胎盤や多胎妊娠などで、最初から大量出血が予想される場合には、出産に備えて自分の血液を先に保存しておく”自己血貯血”の準備が行われることもあります)
 

対して鉄欠乏性貧血の治療法は、”鉄剤”の内服が主になります。

大抵の場合、2〜3ヶ月間の鉄剤の服用で、ヘモグロビン値などの回復が見込まれます。

それでも回復しない場合や、鉄剤の内服が出来ない場合には、注射による鉄分の補給が行われることもありますが、しっかりと医師の指示に従って鉄剤の服用を続ければ、このようなケースにまで陥ることはあまりありません。
 

ただ、鉄剤を服用する場合には、鉄分の吸収を妨げるコーヒーや緑茶といった、カフェインを多く含む飲み物を飲まないようにする、同時に鉄分の吸収を助けるビタミンCを摂取(食事、または内服薬として)する必要があります。
 

また鉄剤を服用することになった場合、一番やってはいけないことは、自己判断で服用をやめること、です。

鉄剤を一定期間服用していれば、一見、鉄欠乏性貧血の症状は改善します。しかし、それはまだ一過性のものであり、根治したとは言えない状態なのです。

必ず、医師の指示に従い、血液検査を受けつつ、治療を続けましょう。
 

もしかして貧血?と感じたら、すぐに病院を受診しよう

出産後の貧血の自覚症状は、

・常に顔色が悪い

・爪の色(爪の下の皮膚の色)が白い

・全身がだるく、疲れが抜けない

・頭痛、耳鳴りが頻繁に起こる

・悪露が中々治まらない、会陰切開後の縫合部の出血が治まらない

などが挙げられます。
 

このような症状が感じられたら、やはりすぐにでも血液検査を行い、貧血か、それとも何か他の要因があるのか、診察を受けることが必要です。
 

また、自覚症状がない、貧血ではない場合でも、出産後の育児は体力勝負。貧血に陥らないために、普段から食生活に十分注意を払いましょう。

「貧血を治すには鉄分を摂ればいいんだよね?」と思いがちですが、必要なのは鉄分だけではありません。

造血作用のあるビタミンB12や葉酸の摂取(先に触れた通り、この2つの栄養素が足りなくなると、悪性貧血を起こす可能性があります)、また鉄分の吸収率を良くするビタミンC、たんぱく質にも気を配りたいところです。

やはり、健康を保つためには、バランスの取れた食生活を心がけることが第一であり、加えて体を少しでも休めることも必要な要素と言えます。
 

慣れない育児に、数時間おきの授乳で、疲れはピーク。ですが、少しでも横になり、疲れを取る生活を送れるようにしなければなりません。

赤ちゃんが何よりも大切なのは当然ですが、後の健康のために大切な産後、貧血に陥らないよう、自分の体をいたわることも大切です。

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