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妊娠中の魚介類の摂取は水銀が心配 どの程度なら問題ないの

妊娠中は、水銀が含まれるマグロやキンメダイを食べるべきではない、という話を聞いたことがあるかもしれません。

しかし、魚介類には胎児の成長に不可欠な栄養素を含んだ、優秀な栄養源の一つ。

どんな点に気をつけて摂取すればいいのかを見ていきましょう。

<h2>妊活中・妊娠中の女性は、魚介類の水銀について詳しく知っておくべき!</h2>
日本人の魚離れ、と聞いて久しいですが、それでも海に囲まれている立地ゆえか、日本人の魚の消費量は世界中の国々の中、トップ10入りするほど、日常的に魚介類を食べている国であると言えます。

魚には様々な栄養素が含まれており、DHA、EPA、カルシウム、葉酸、たんぱく質、コラーゲン…と枚挙に暇がありません。

また、同じ”動物性たんぱく質”に括りではありますが、牛、豚、鳥に代表される”肉”と比べて、魚の持つ脂肪は血液中のコレステロール・中性脂肪を減らしてくれる働きを持っています。

あと他にも、抗酸化作用を持ったビタミンEを最初から含んでいることからも、同じカロリー量でも太りにくい・アンチエイジングの効果あることから、”ヘルシー”、”いいもの”というイメージがあります。
ただ、妊婦さんにとって”魚ばかりを食べる”ということはあまりお勧めできません。

それは「”水銀”、”カドミウム”といった有害な物質を含んでいるという」問題を含んでいるためです。

水銀、カドミニウムはどちらも”重金属”と言われるものであり、人体にとって有害な物質です。
かつての高度経済成長期時代には、まだこれらの重金属の危険性が明らかになっていなかったため、金属加工工場で使用されたこれらの物質が河川や土壌に垂れ流しにされてしまった過去があります。

これが重大な公害(水俣病・イタイイタイ病など)が発生したことを、学校の勉強で習った覚えがある方もいることでしょう。

ですから、現在は排水や土壌汚染防止のため、様々な取り組みがされているのですが、それでも過去に出してしまった重金属が、今も土や海水に含まれており、これを除去することはほぼ不可能な状態になっています。

また、水銀に関して言えば、そもそも火山のある場所では必ず自然的に水銀が放出されているため、火山国である日本は水銀とは切っても切れない関係がある、と言っても過言ではありません。
この水銀などの有害物質が、どうして魚と繋がるのかというと、

自然や(過去の)工場から流れだした重金属が川から海に到達する

→海水を泳ぐ魚の中に水銀が蓄積される

→食物連鎖により、プランクトン、小魚、中くらいの魚、より大きな魚…と蓄積された水銀が渡っていき、濃縮される

=食物連鎖の上位になるほど含有量が増えていく

と、自然のサイクルに組み込まれてしまっているためです。
また、水銀などの重金属は、海水よりも重いため、海底の砂の中に沈殿しています。

ですから、海底の砂場に潜み、小魚を捕食しているような魚ほど、濃度が高いことも覚えておきたい点です。
こうした、水銀含有量の高い魚肉を妊婦さんが沢山食べて続けてしまうと、胎児に影響が出ることが分かっています。

特に、水銀が有機物と化合して出来た”メチル水銀”は、胎盤のフィルターを通りぬけ、胎児の脳・中枢神経に及ぼしやすいため、特に摂取には注意を払いたいものだと言えます。

そのため、厚生労働省では、妊娠中の魚の食べ方について注意喚起を行っているのです。
ですが「妊娠中は魚を食べなければいい」とは絶対に考えないでください。

最初に述べた通り、魚は本来、体にとてもいいものであり、胎児の成長にとってもプラスとなる、良質な栄養素を多く含んでいます。

水銀が心配だから、と魚全体を避けてしまうのは、あまりに勿体ない話ですし、動物性たんぱく質の摂取を肉類で補おうとすると、どうしても動物性油脂の摂り過ぎに繋がってしまいます。

あくまで、”水銀を多く含む魚を過剰に食べる”ことが問題なのです。
<h2>妊婦が魚介類を食べる時の注意点にはどんなものがあるの?</h2>
インターネット上の質問サイト上でも、妊婦さんからの魚を食べることについての質問を多く見かけます。

「どんなものなら安心?」

「妊娠○ヶ月目だけど、もう遅い?」

「○○はどれ位ならば問題はない?」

「同じお寿司屋さんでも、回転寿司の魚は危険?」

「結婚記念日などの記念日ディナーで○○を食べてしまったけれど、影響は出る?」

「海外の魚であれば大丈夫?」

といったものが主です。

ここで多く回答されているものとしては「食べ過ぎでなければ問題ない」がほとんどであり、実際、その通りだと言えます。

例えば、水銀の蓄積量が多いことで知られている”金目鯛”を、何尾分も連続して食べた、というような極端な状況でない限り、このように回答するしかない、というのも実情です。
それでは、特に多い質問について、一つずつ見ていきましょう。

<h3>どんな魚は注意すべき?</h3>

先に触れた通り、水銀などの有害な重金属は、”海の食物連鎖の中の上位に位置する魚”と”深海に住む魚”に多く含まれています。
代表的なものは
<ul>
<li>クロマグロ、カジキマグロ、メカジキのようなマグロ系</li>
<li>キンメダイ、カレイ、ヒラメ、ムツ、キンキ、などの深海魚系</li>
<li>サメ類、イルカ、クジラ類(海洋哺乳類)などの食物連鎖の上位の生き物</li>
</ul>

ですので、出来るだけ避けるか、妊娠期間は別の魚を選ぶようにするといいでしょう。

また、一部地方では、新年やお祝いごとの席で鯨汁を食べる風習もありますが、鯨肉やイルカ肉は特に水銀含有量が多い食品ですので、お祝いごとではありますが、避けた方がいいでしょう。
<h3>どんな魚であれば食べても平気?</h3>

上記の括りに入る魚でなければ、基本的に通常の食事で摂取する量では問題はありません。

特に食物連鎖の下位に位置するイワシ、アジ、サバ、サンマ、カツオなどは、青魚でありDHAやEPAも豊富なので、むしろ積極的に摂取するといいでしょう。

ここで気になるのが、多くの人が好きな鮭(サーモン)ですが、これも食べても問題ありません。

そして、ある大学の研究結果によると、鮭の摂取はADHD(注意欠如多動性障害)の発症率を下げる効果があることも判明しているため、積極的に取るべき、と言われています。

また、同じマグロ系でも、キハダマグロやビンナガマグロは摂取しても問題ない、と言われています。そして、こちらのマグロを原料にしているツナ缶も摂取しても問題ありません。
<h3>魚以外の魚介類もやっぱり注意は必要?</h3>

カニ、エビ、貝類なども、海に生息し、しかも深海にいる生物ですから、水銀の含有量が気になるところですね。

しかし、イカ、タコを含めこうした魚以外の魚介類の水銀量は微量であり、摂取しても問題はない、と言っていいでしょう。

ただ、後述もしますが、別の病気の原因になることもありますから、生のまま食べることは避けたほうがいいでしょう。

また、かにみその中には高濃度のカドミウムを含む場合があるので、これも避けた方がいいでしょう。
<h3>どんな調理法でも水銀量は変わらない?</h3>

残念ながら、食事を前提とした加工法では、水銀を除去することは出来ません。

お刺身でも、煮魚でも、その身に含まれる水銀量を減らすことは出来ません。

ただ、皮や、脂の多い部分、そして血合いには、特に水銀が溜まりやすい傾向がありますから、例え食べても平気な部類に含まれる魚でも、この三つの部位は避けて調理するといいでしょう。
ただ一点、調理法についてですが、塩分の高い魚介料理――干物、塩漬け・塩降りの切り身などは、妊婦の敵である高血圧の原因になりますから、そうした塩分の摂取量について注意を払いましょう。
<h3>お寿司やお刺身のように、生で魚介類を食べても大丈夫?</h3>

”水銀の含有量”という視点で見るならば、上で述べた通り、調理法で含有量は変化しませんから、食べても大丈夫とされる魚介類であればどんな調理法でも食べてかまいません。

しかし、ここでは別の問題があります。

それが、寄生虫や細菌、ウイルスなどの食中毒の恐れがある、という点です。

これは魚だけでなく貝やイカ、タコにも共通する問題であり、例としては牡蠣によるノロウイルス感染症、イカの刺身によるアニサキス症が挙げられます。
とくに、ここで特に注意したいのが、鮭による”リステリア菌感染症”です。

あまり聞き覚えがないものですが、日本では今のところ感染報告はありませんが、欧米では妊婦がこの感染症にかかったことで、水頭症や流産などの影響が出ていることが分かっています。

このリステリア菌は”生のまま長期保存する食品”で繁殖します。

スモークサーモンもこれに当たりますし、生ハム、ナチュラルチーズでも、この菌の検出が日本で報告されています。
こうした食中毒を避けるために、妊娠中は魚介類に関わらず、生の食品を食べることは出来るだけ避けたほうがいいのです。
<h3>魚介類の水銀汚染は日本だけ?</h3>

これも残念なことに、このような状態は、日本近海のみならず、世界中の国でも同様に起こっていることです。

ですから、日本産・海外産といった括りで考えるのではなく、”水銀(メチル水銀)の含有量が高い傾向がある魚を避ける”ことをしたほうがいいでしょう。
<h3>妊娠初期に水銀含有量注意すべき魚を食べてしまった!</h3>

妊娠に気付かないうち、またそれと分からず食べたものが実は…という話は、非常によくある話です。

特に、外食時には、自分で気をつけていても口にしている可能性も否定できません。

ですが、先に書いた通り、”水銀が胎盤を通過してしまうことが問題”なのです。

胎児とお母さんを繋ぐ胎盤が完成するのは、妊娠四ヶ月に入ってからであり、それ以前――”妊娠一、二ヶ月程度であれば、まだ胎盤がない状態ですから、赤ちゃんに水銀が渡ってしまうことはない”のです。

ですから、妊娠に気付いてすぐ、水銀を多く含む魚の摂取を止めれば、胎盤が出来る頃にはお母さんの髪の毛や排泄物によって、体内にある水銀の半分は排出出来ますから、そこまで心配する必要はありません。
ただ、妊活中の女性や、「もしかして」と思う状況であるならば、その時点から注意すべき魚の摂取を控えましょう。
<h3>どれ位を目安に魚を食べればいいの?</h3>

厚生労働省によれば、”注意すべき魚”に挙げられている魚の摂取量は”一週間に切り身で一切れ以内、刺身で一人前”であれば問題ない、としています(”特に注意がいらない魚”の摂取量については特に数字を出していません。)

例えば
<ul>
<li>月曜日にクロマグロの刺身を半人前食べたら、木曜日のキンメダイの煮付けは半切れにする</li>
<li>火曜日にメカジキのソテーを食べたら、翌週の火曜日までは注意すべき魚を食べない</li>
</ul>
といった具合で、一週間の累積量で計算しましょう、ということです。
<h3>授乳中にはこうした魚を食べても大丈夫?</h3>

母乳もお母さんの血液を原料にしているため、その水銀量が気になるところですが、母乳から赤ちゃんに移行する水銀量は少量です。

また生まれた時には、水銀の影響を受ける脳や神経は出来上がった状態であるため、例え水銀が少量含まれていたとしても、影響を受けることはありません。

大人と同じく、排泄物や髪の毛などで排出されるので、赤ちゃんに影響が出ることは考えにくいと言えます。

ですから、お腹に赤ちゃんがいる時に、特に注意すべきである、という点さえ留めておけばいいでしょう。
<h3>他に食べ方に気をつけるべき魚介類はある?</h3>

例えば土用の丑の日に、皆でこぞって食べるウナギは、葉酸を沢山含んでいます。そして、水銀の含有量も少ないですし、何よりスタミナがつくため、疲れやすい妊婦さんの強い味方のように感じます。

が、このウナギは、同時に過剰摂取で胎児に悪い影響が出るビタミンAを沢山含んでいます。

もし、ウナギの蒲焼きやうな丼を食べた場合には、しばらくはビタミンAを多く含む食べ物は避けるなどして、過剰摂取に繋がらないようにしましょう。
お腹の中で赤ちゃんを育む間、様々な制約があって息苦しく感じることもあるでしょう。

ですが、赤ちゃんに起きるリスクのあるいくつかは、お母さんとなる女性の行動一つで回避出来るものも確かにあるのです。

是非、赤ちゃんの健康を守るためにも、魚の食べ方にも注意を払いましょう。

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