妊娠中、どんな飲み物を飲むべき? 気をつけたい成分とは
妊娠中、口に入れるものが、引いては赤ちゃんの栄養に繋がるのですから、人一倍の注意が必要になります。
しかし、カフェインの量、糖分の量、カロリーは…と気になって、何を飲めばいいか分からない、という人もいるのではないでしょうか?
妊娠中、どんな飲み物が良く、逆にどんな飲み物に注意すべきかを見てみましょう。
このページの目次
妊娠授乳期の飲み物 ココアも駄目って本当?
妊娠中、お腹の中の赤ちゃんの成長の鍵を握るのが、お母さんの摂取した食べ物、飲み物であることは、ご存知のことでしょう。
赤ちゃんは必要な酸素や栄養素を、胎盤を通してお母さんの血液から摂取します。
この胎盤は、とても優秀なフィルター機能を持っていて、お母さんの血液の中から栄養素と酸素を、そして胎児側からは老廃物と二酸化炭素を、それぞれ混ざらないように行き来させることが可能なのです。
ただ、この胎盤のフィルターは、その成分の分子の大きさが大きい物は通しませんが、小さなものは通してしまうという欠点があります。つまり、”成分によってより分けているわけではない”というのがポイントなのです。
そのため、妊婦さんが摂取した食べ物・飲み物の成分によっては、赤ちゃんの成長に好ましくないものが赤ちゃんに渡ってしまうことがあるのです。
ですから、妊娠が分かってからは勿論のこと、妊活中の女性も、どんな食べ物がいいのか悪いのかといった知識は、しっかり得ておかなければならないのです。
そんな中、気になるのが、多くの飲み物に含まれている”カフェイン”という成分の存在です。
カフェインはとても身近な成分でありながら、その中毒性の有無に関してや効果について、妊娠の有無に関わらず議論される成分ですね。
そもそもカフェインは脳の交感神経を活性化させ、元気を沸き起こす、眠気を取る、気分をよくする、疲れを取り去ってくれるように感じる成分です。
ただし、同時に、無理に交感神経を活性化させているわけですから、当然、根本的な問題の解決(疲れ、落ち込みの解消など)をしてくれるわけではない、という部分が第一に問題点です。
第二に、交感神経が活発化することで、逆に自律神経が休まらなくなって異変を来し、胃腸炎の元になったり、血圧の上昇、肩こりの悪化、睡眠障害、子宮内膜症や卵管の筋肉硬直などの不妊の原因にも繋がることが分かっています。
ただ、一日の摂取量の目安である200〜300mgの用量に留めるようにすれば、肝臓で分解される成分ですから、過剰摂取にならないよう心がければ、利点のみを上手く利用できると言えます。
さて、問題は、胎児や乳幼児に対しての影響です。
先に触れた通り、胎盤は分子の大きさが大きいものは通さない機能を持っているのですが、カフェインは分子が小さく、妊婦の摂取したカフェインが胎児に流れてしまうのです。
まだ体が小さく、内臓の機能も弱い赤ちゃんにとって、カフェインの効果は強すぎ、またその分解にも大人以上に時間がかかる、つまり長期間、その影響を受けることになってしまうことが分かっています。
また赤ちゃんだけでなく妊婦さん自身にも必要な、葉酸や鉄分、カルシウムの吸収を阻害(邪魔をする)効果があるため、摂らずに済むならば摂らないに越したことはありません。
母乳においても同じことが言えるため、授乳期もカフェインの摂取は控えめにしたいと言えるでしょう。
しかし困ったことに、カフェインを含む飲み物が、想像以上に多いことをご存知でしょうか?
コーヒー、緑茶、紅茶、ウーロン茶といった、普段から身近にある飲み物には言うに及ばず、一般的な栄養ドリンクや、あとは体にいい効能がたくさんあるココアにまで含まれています。
特にココアに関しては、女性に嬉しい美肌効果・整腸作用・ストレスの緩和…と、いい効能がありますから、飲み続けたいと感じる女性は多いでしょう。
実際、インターネットの情報サイト上でも、同じような質問を目にする機会も多くあります。
一般的に購入できるココアでも、一杯当たりのカフェインの含有量は10〜50mgであると言われています。また、そうした製品の多くは自分で濃さを調節できますから、濃い目が好きな人は、これよりもカフェインを摂取している可能性があります。
どうしても飲みたい!と思わない以上は、薄い目に作ったり、一日一、二杯にとどめるほうがいいと言えます。
また栄養ドリンクについては、”ノンカフェイン”や”妊娠授乳期などの場合の栄養補給”といった但し書きがないものは、基本的にカフェイン入りと考えたほうがいいでしょう。
そして言うまでもありませんが、例えノンカフェインでも栄養ドリンクに頼り過ぎるのではなく、普段の食生活や生活自体を見直し、妊娠授乳期の疲れを取る方向で考えたほうが、ずっと健康的です。
飲み物といえばお茶!でも妊娠中は飲んじゃだめ?
つわりの時期、どうしても気持ち悪く、砂糖も何も入っていない、シンプルなお茶で口をさっぱりさせたい、と思う人もいるでしょう。
ですが、やはり緑茶・ウーロン茶・紅茶系のような、”チャノキ”の葉を加工して作られたお茶は、カフェインレス、ノンカフェイン、デカフェと表記されていないかぎり、カフェインが入っていると考えていいでしょう。
濃さや淹れ方によって、カフェインの含有量は大きく変わり、一般的な緑茶や紅茶、ウーロン茶では、一杯を150mlで換算すると30mg、抹茶では45mg、玉露に至っては150mgと全く異なる点にも注目する必要があります。
またこの系統のお茶には、もう一つ気をつけなければならない成分が含まれています。それが”カテキン”です。
カテキンは、抗酸化作用や殺菌作用があるため、いいものだと考えがちですが、この成分が酸化してできる”タンニン”は、体内で鉄分の吸収を阻害します。
つまり、カフェインとカテキン(タンニン)の二重の効果で、妊婦にとって必須の鉄分が不足してしまう可能性が高くなるのです。
もし、元々貧血気味な人や、妊娠貧血の兆候がある・またはその診断があった場合には、こうしたお茶は避けるべきです。
では、妊娠授乳期に全くお茶は飲めないのか、と嘆くことはありません。
まず、日本人に馴染みの深い麦茶(※はと麦茶は除く)は、大麦から作られているため、カフェインを含みません。
また、ミネラル分を多く含むため、何かと不足しがちなこの時期の女性にはとてもいい飲み物だと言えるのです。
なにより、麦茶はティーバッグタイプのものを含め、非常に手に入りやすいお茶ですから、妊娠授乳期、そして子供と共に常飲するのにも適しています。
※はと麦茶に含まれるハトムギは、子宮収縮効果のある成分を含んでいますから、妊娠中は避けましょう。
最近よく耳にするようになったコーン茶も、実は妊婦さんにとってとてもいい効果があります。
高血圧、むくみ、冷え性といった、妊婦さんが悩む症状の改善に効果がある他、鉄分・食物繊維を含んでいるため、貧血や便秘に悩んでいるならばもってこいです。
味は、とうもろこしの持つほんのりとした優しい甘みを含んでいて、とうもろこし本来の味を感じるものもあるようです。
そして何よりノンカフェインですから、どの世代でも安心して飲めるお茶だと言えます。
ジュース等の飲み物に含まれる○○の量、妊娠中は要注意!
では、続いて一般的な飲み物に挙げられるジュースはどうでしょうか?
ジュース類で一番注意したいのは、”含まれている糖分が多い”という点です。
例え、無添加の100%の果物のジュースであっても、そもそも果物には”果糖”糖分が大量に含まれているから、甘みを感じるのです。
糖分は、つまりはカロリーに繋がりますから、飲み過ぎてしまうとカロリーオーバーになったり、酷い時には妊娠糖尿病や低血糖といった病気の発症原因になることがあるため、決して過剰摂取が許されるものではありません。
ただし、同時に糖分は、体には絶対必要な栄養素であることは間違いのない事実です。
糖分がなければ、人は考えることも、動くことも出来なくなってしまいます。
摂る・摂らないという極端な考え方ではなく、”適量を摂取する”ことが第一です。
と、ここまでの説明を聞くと「じゃあ甘みを感じるけれど、実際には糖分として吸収されない人工甘味料であれば問題はない?」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、そうは言い切れないのです。
ダイエット飲料(カロリーゼロ、低カロリー等)をうたっている清涼飲料水の中には、”アステルパーム”という人工甘味料を含んでいるものがあります。
このアスパルテームは”フェニルケトン尿症”という先天性の”糖代謝異常疾病”の人にとっては避けるべき食品であると、厚生労働省において告知されています。
フェニルケトン尿症を持って生まれてくる子供は、八万人に一人という確率ではありますが、お腹の中の赤ちゃんがそうであるかどうかは、生まれてからの検査を受けなければわからないのが現状です。
もし、お腹の中の赤ちゃんがこの先天性疾患を持っていた場合、やはり胎盤を通じてこの成分が渡されてしまい、出生後の予後に大きく影響する可能性がありますから、妊娠中であるならば、この人工甘味料は避けたほうがいいでしょう。
もう一つ有名な人工甘味料の”スクラロース”や”キシリトール”も、甘みはあるものの、人間には消化吸収できない物質であるため、飲み物やお菓子に多用されている甘味料です。
しかし、人によってはこの成分に腸が拒否反応を示し、結果として下痢を引き起こす可能性があります。
妊娠の時期によっては、下痢が続くことで早産に?がるケースも珍しくありませんから、こうした人工甘味料に頼り過ぎるのは考えものだと言えます。
結論を言うと、妊娠中は安易に清涼飲料水に手を出すのではなく、カロリーや糖分の量、そして使われている甘味料に注意を払うべきだと言えるのです。
また、よく「妊婦はポカリスエットなどのスポーツ飲料は妊婦は飲んでもいいのか」という質問を見かけます。
基本的に、妊婦さんにとっても、こうしたスポーツ飲料は飲んでも問題ありません。
特につわりの時期や脱水症状の怖い夏場などは、産科医でもこうした人に吸収されやすい電解質を含んだもので水分補給を勧める場合もあるようです。
ただ、やはり含まれている糖分が気になる場合は、”乳幼児用”のものを飲むのもいいでしょう。
こうしたスポーツ飲料は、冷やしたものよりも常温のほうが体に吸収されやすいので、緊急の場合に備え、常温の状態で常備しておくか、お湯で少し薄めて飲むのもおすすめです。
妊娠中の飲み物、”安心して飲める炭酸”とは?
では、同じジュースでも、炭酸飲料はどうでしょうか?
これもやはり、含まれている糖分の量、使われている甘味料に対しての注意が必要になってきます。
そして、炭酸飲料の中には、カフェインまで含まれているものもありますから、やはり、成分表示をしっかり確認してから飲む必要があると言えます。
ただ、炭酸飲料の中にも、妊娠中にも安心して飲めるものがあります。
それが”無糖炭酸水”です。
そもそも、炭酸飲料とは、その原液に炭酸ガス(二酸化炭素)を加える事で、あの発泡感を作り出しているものであり、原料が水と二酸化炭素だけである無糖炭酸水であれば、結局は水を飲んでいるのと同じことになるのです。
それに、飲食物に含まれる炭酸ガスは人体にとって無害ですし、赤ちゃんに悪い影響を起こすこともありません。
それどころか、炭酸水は、吐きつわりの時期の女性にとって、とてもいい効果があるという経験者の声を多く聞きます。
炭酸の刺激が胃腸を活性化させ、胃もたれなどの不快感の改善に効果を見せてくれるほか、便秘の改善に繋がるという声もあります。
昔はこうした無糖炭酸水は、お酒を割るためのもの、というイメージがありました。しかし最近では、日常的に飲む人が増え、非常に手に入りやすい状況になっています。
また、そのおかげか、フレーバー入りの炭酸水の種類も増えてきました。
実際、筆者がつわりの頃は、こうしたフレーバーの入った炭酸水に、ずいぶん助けられました。
安価ですし、自分好みの炭酸水を見つけてみるのもいいかもしれません。
但し、ものによっては原材料に果汁や別の添加物が含まれているものもありますから、原材料欄の確認は必ずするようにしましょう。
妊娠中におすすめできる飲み物にはどんなものがある?
では、妊娠中におすすめの飲み物には、麦茶、コーン茶、無糖炭酸水などがあることを見てきましたが、他にどんなものがあるのでしょうか?
まず一つ目は、牛乳です。
妊婦さん自身が牛乳アレルギーや、乳糖不耐症でない限り、牛乳は非常に優秀な栄養源だといえます。
一日一杯の牛乳であれば、カルシウムなどの栄養素の補給になりますし、脂質が気になるならば、低脂肪牛乳を選べばこの問題も解決できます。
赤ちゃんに牛乳の成分が渡ることもありませんから、妊娠中の牛乳の摂取が赤ちゃんのアレルギーの原因になることもありません。
そして実は、牛乳には、妊婦さんに不可欠な葉酸が含まれていることをご存知でしょうか?
効率よく、質の良い葉酸を摂るならば、やはり葉酸サプリメントを選ぶべきではありますが、自然に食事でも葉酸を得たい、と考えるのであれば、牛乳を飲むのも選択肢のうちの一つです。
また、”成分調整牛乳”の中には、葉酸やカルシウム、鉄分を配合した、まさに妊婦さん・授乳中のお母さんに最適なものもあります。
続いてが、タンポポコーヒーやタンポポ茶といった、タンポポを原料とした飲み物です。
「あの黄色いタンポポが?」と思われるでしょうが、たんぽぽは妊婦さんや授乳中のお母さんにとってとても優秀なハーブです。
まずその効能として挙げられるのが、利尿作用が強いことです。
むくみの原因である水分の排出に優れた効果があり、膀胱炎や尿管結石などを患った経験があるならば、是非飲むべきでしょう。
そして母乳の出と質、その両方がよくなるものであり、これらに悩んでいるお母さんには是非おすすめです。
味も、コーヒーに似ており、コーヒーの置き換えに使う人も多くいます。
ホットコーヒーのように温かい状態は勿論、冷やしてアイスコーヒーのように飲む、カフェオレのように牛乳で割る、といった様々な飲み方が出来ます。
三つ目に挙げられるのがルイボスティーです。
ルイボスティーは紅茶のような味わいの、さっぱりした、これもハーブティーの一種です。
勿論ノンカフェインであり、多くのミネラルをバランスよく含んでいます。
その他にもアンチエイジング、便秘の改善に効果を発揮するため、妊娠で疲れている人、紅茶が好きだけれど飲めないことにストレスを感じている人ならば、ルイボスティーを選ぶといいでしょう。
それでも、今までの飲み物からあまりかけ離れたものには手が出しにくい、という人は、ノンカフェインのコーヒーや紅茶を選ぶのもいいでしょう。
普通のものよりも少し値段は高くなる傾向はありますが、味はそのままですし、風味の遜色もありません。
妊娠中の女性は「妊娠中だけ我慢しよう」と、どうしてもお腹の赤ちゃんを優先し、ストイックな食生活になりがちです。
その思いは勿論大切なものではありますが、自分に厳しくしすぎて、ストレスを感じるようでは、逆にお腹の赤ちゃんにとっていい影響を与えません。
ですから、妊娠中でも、新しい楽しみ方を探し、ゆったりとした気持ちで日々を過ごせるようにするのも重要ですよ。