基礎体温を計るなら二度寝やトイレはご法度?正しい管理方法とは
大人の女性にとって、基礎体温の管理はとても大切です。
と、それは分かっていても、いざ始めてみると、毎朝基礎体温を計る煩わしさ故に、継続している人は成人女性のうち2割にも届かない――というデータもあるほどです。
しかし、自分の生理周期を始めとした体調管理はするに越したことはありません!
そんな基礎体温の計り方や、よくある「二度寝の後は?」「トイレに行ってもいいの?」といった疑問に迫ってみましょう。
このページの目次
基礎体温を計るのは面倒… 二度寝やトイレも行けなくなるの?
そもそも何故、基礎体温は「目が覚めたらすぐに計るもの」とされているか、ご存知ですか?
基礎体温とは「人間が生きるための最低限の運動をしている時の体温」、つまり、呼吸や心臓の脈拍のような、止まることのない生命活動のみが行われている――安静に眠っている時の体温を指します。
しかし、一度目が覚めて、体を布団から起き上がらせたその時から、体には別の熱が加わります。
何故なら、人間の体というものは、内臓の働き(具体的には食物の消化など)や筋肉の動きによって熱を発するようになっているからです。
勿論、ただ起き上がって数歩歩いただけでは「体温が上がった!」と気付くことはありません。
元々人間は恒温動物ですから、さほど大きな体温の変動は起きないようになっています。
しかし、動くか動かないかの違いは、このほんの些細な体温の変化を招いてしまうため、正確な基礎体温が知るための障害になってしまうのです。
「じゃあ、二度寝をした時や、トイレに行きたくて仕方ない時はどうすればいいの?」と疑問に思うことでしょう。
より精度の高いデータを取るとしたら、本来、二度寝やトイレも我慢すべきだと言えます。
何故、二度寝やトイレに行った程度で基礎体温が計れなくなるのか
女性の基礎体温の変化は二相性と呼ばれています。
一般的に耳馴染みがあるのは”高温期”と”低温期”という呼ばれ方でしょう。
そして個人差がありますが、平均して女性の生理周期は28日程度であり、この2つの期間を生み出しているのが、それぞれの時期に体内で分泌されている2種類の女性ホルモンです。
生理開始日から低温期が始まり、生理開始日から数えて大抵14日ほどで、一度基礎体温がぐっと下がり、その後高温期が始まります。
この高温期が14日ほど続き、再び基礎体温がぐっと下がると、その日から再び生理が始まる――これが、よく見る基礎体温のグラフですね。
ただ、この二期の体温の差は、通常0.3〜0.5℃という、非常に微妙な差です。
この温度差は、起床後少し体を動かす――それこそ起き上がってカーテンを開ける、というような動作だけでも上昇しかねません。
加えて、人間の体温が基礎体温のみの状態になるには、連続して4時間以上、体を安静(睡眠)にする必要があるため、十分に睡眠できなかった時や、二度寝した時、そして体温の上下が起きるトイレ後では正確な基礎体温が計れないのです。
二度寝やトイレをした日は、基礎体温を計っても意味はない?
「そこまで厳密に、全く動かない状態で体温を計るなんて無理!じゃあ私はやらなくていい!」
そんな声が聞こえてきそうですが、どうぞご安心を!
そこまでがんじがらめに考える必要はないからです。
勿論、医学的な観点から言えば、基礎体温は
- 毎日同じ時間に眠り、同じ時間に起きる状態で計る
- 目が覚めてすぐ、体を可能な限り動かさない状態で計る
- 体温の変化が起きづらく、かつ正確に計れる舌下の最奥で計る
この3点は必ず守るべき、と言えます。
しかし、実際に、毎日必ず同じ時間に就寝・起床ができるでしょうか?
眠りの深さだって、自分ではどうしようも出来ませんし、寝室の室温だって、季節によって変わります。
もっと言ってしまえば、眠っている時の寝返りでだって、筋肉は使っているのですから、そこまで気にし始めてしまうと、日常生活の中で完璧なデータを得るのは、元々無理になってしまいます!
だからといって、基礎体温を計る必要がないか、というとそれもまた別の話です。
二度寝やトイレに限らず、イレギュラー(例えば風邪を引いた時など)なことがあった時にも、とりあえず基礎体温は計り、”参考記録”としておくのがいいでしょう。
基礎体温はデータを積み重ねてこそ意味があるもの
基礎体温の管理でとにかく一番大切なことは、”データを蓄積すること”です。
毎日、コツコツと基礎体温を計ることで、乱れがちな生理周期の人でも、その傾向を知ることが出来ますし、普段はきっちり正確な人の周期が乱れたならば、何か体調に変化が起きていることに、早期に気付くことが出来ます。
例えば、近年、若い女性で起きている早期閉経ですが、これは先に触れた女性ホルモンの分泌が弱まっているため、基礎体温の二相性がなくなります。
逆に、高温期が続くようであれば、妊娠している可能性が高くなりますし、その可能性がないのに高温期が続く時には、黄体依存症という病気の可能性があります。
そうした女性特有の病気に気付くためにも、イレギュラーな日も含めて、基礎体温は測っておくべきです。
2〜3日、旅行などで体温を計るのが難しい日があったとして、そこが歯抜け状態になっても構いません。
”できるだけ”同じ時間、同じ睡眠時間、目が覚めてすぐに舌下で計る。
二度寝をした時には最後に目が覚めた時に、トイレに先に行ってしまった時には参考記録にする。
もし、基礎体温に乱れが生じ、かつ生理周期にも異変が出た時にはすぐに病院を受診する。
これだけを守るようにしましょう。
基礎体温は女性の健康の大切な指標 今から管理を始めよう!
「ああ、やっぱり基礎体温を計るのって面倒だから、私はいいや!」とは、思わないで下さい。
確かに、”何もない”状態の時に基礎体温を計るのは、ただただ面倒で、忙しい現代女性にとって、目が覚めてからの数分すら惜しいと感じるものです。
ただ、その数分の積み重ねが、将来の自分を助けることに繋がるとしたら、どうでしょう?
旅行などの計画が立てやすくなることや、急な生理に慌てることもなくなるのも基礎体温の管理で得られる利点の一つです。
しかし基礎体温は、それよりももっと大きなこと――妊娠や病気など、自分の体に起き始めた異変にいち早く気付けるという、大切なデータでもあるのです。
それに現代では、スマホアプリなどでも基礎体温の管理ツールがあるばかりか、婦人体温計自体に目覚まし・データ蓄積機能がついているものもあります。
面倒だからの一言で辞めるのではなく、是非、こうした便利な物を活用して、自分の朝のルーティンの中に基礎体温の管理を含めて下さい。
そして将来、自分に訪れる様々なことから、自分自身を守っていきましょう。