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何故妊娠後期に仰向けで寝てはいけないの? その理由とは

妊娠中、特に後期には仰向け寝はしてはいけない――そんな話を聞いたことがありますか?

お腹に圧力がかかるうつぶせ寝ならまだしも、赤ちゃんに一番負担がかからない姿勢のはずなのに、と疑問に思いますよね。

何故、妊娠後期に仰向けで眠ってはいけないのでしょうか?それには、ちゃんとした理由がありました。

妊娠後期に仰向け寝は危険!…って本当のこと?

妊娠後期になってくると、大きくなったお腹のせいで、今まで出来ていた様々なことが出来なくなってきます。

まず、食事をするにもすぐにお腹が一杯になってしまいますし、座った状態から立ち上がる時にも一苦労。食器を洗おうにもお腹がつかえてシンクに正面を向いて立てない――と、挙げればキリがないほどです。

そして何とか一日が終わり、さあ眠ろうと思ったら、今度は眠るときの姿勢で四苦八苦。

仰向けでしか寝付けないのに、「仰向けで寝るのは赤ちゃんが危険!」と言われるし…
 

と、実は、眠る時の姿勢について悩みを抱えている妊婦さんは少なくありません。
 

眠ることは、言うまでもなく生物にとって大切なことです。

特に妊娠中であるならば、普段よりもずっと疲れやすい体になってしまっていますし、お母さんの体がしっかり休まっていなければ、赤ちゃんにもいい影響はありません。

少しでも質の良い睡眠を取るために、自分好みの体勢で眠りたいところですが、やはり、眠るときの姿勢が苦しいこと、そして自分の姿勢によって、赤ちゃんに影響が出てしまわないか、という点が気になりますよね。
 

妊娠後期の妊婦さんが眠る時、どんな体勢を取るべきなのでしょうか?

また、何故仰向けで眠るのは良くないと言われるのか、本当に赤ちゃんに悪いことなのか、見ていきましょう。
 

どうして妊娠中に仰向け寝をするのがいけないのか

妊娠中、仰向けで眠ることが何故良くない、と言われるのでしょうか?

インターネットなどで散見する体験談として多いのは

「妊娠後期になって仰向けで寝ると苦しかった」

「仰向けで寝た翌朝、お腹が固く張ってしまっていた」

「腰痛やむくみがひどくなった」

という、”仰向けで眠ると体調が良くない”という、自分の体調が悪くなった、という妊婦さんが大半のようです。

勿論、「大丈夫だった」「それでないと寝付けないし」という話もありますが、どうも”結果的に、仰向け寝は辛い”と感じる人のほうが多いのが分かります。
 

これには、れっきとした理由があります。

妊娠中期頃から、赤ちゃんの成長と共にお腹が大きくなっていきますね。この時、お腹の外側だけでなく、お腹の内側もまた、大きくなっていく子宮に圧迫されている状況になっているのです。

お腹の中のスペースは限られていますから、必然的に、他の臓器や血管が圧迫されてしまいます。

そのため、妊娠後期にもなると、すぐにお腹がいっぱいになる、息がしづらいといった影響が出てくるのです。

ですから、仰向け寝をして苦しい、と感じるのは当然のことなのです。
 

また、ただ「苦しいからダメ」というわけではありません。

仰向け寝の状態は、”仰臥位低血圧症候群”という症状を引き起こすリスクが高くなるのです。
 

妊娠後期の仰向け寝は仰臥位低血圧症候群を起こす危険あり

仰臥位(ぎょうがい)とは聞き慣れない言葉ですが、これは仰向け寝のことを意味する言葉で、つまり仰臥位低血圧症候群とは、”仰向け寝の状態で起きる血流障害”を指します。

心臓から送られた血が大動脈、動脈を経て体中の細胞に酸素と栄養を届け、逆に二酸化炭素と老廃物を含んだ血液が静脈、そして大動脈から心臓に送られることはご存知のことでしょう。

このうち、下半身からの血を心臓に届けるための”下大静脈”という、人間の体の中で一番太い静脈が、子宮の裏側の背骨の右側に存在します。

この静脈が何らかの原因(この場合は妊娠により大きくなった子宮の圧迫)により、血流が鈍くなってしまうと、下半身からの血液が心臓に戻ることが出来ず、低血圧を起こしてしまうのです。
 

妊娠による仰臥位低血圧症候群の怖いところは、眠っている間にこの症状が起き、そのまま気絶してしまう可能性があることです。

まだ意識のあるうちであれば、体勢を変えて血流を正常にすることが出来ますが、眠った状態で発症すると、血圧が低くなり酸素が十分に体中を巡らないために、自分のみならず赤ちゃんまでも危険な状態になってしまいます。
 

下大静脈は、背骨の右側を通っていますから、もし仰向け寝の状態で気分が悪い・気が遠くなるような症状が出た場合には、”体の左側を下にするように横向きになる”ことで症状が改善します。
 

妊娠後期の仰向け寝は、他にどんな不調の原因になるの?

臨月になるとお腹の重さは5キロほどにもなるわけですから、これをお腹の上に置いて何時間も過ごせば、やはり苦しさを感じるのは当然のことですね。

例え仰臥位低血圧症候群にまで至らなくても、妊娠後期の仰向け寝は、どうしても血流や内臓の働きを邪魔してしまいます。
 

子宮の真下に存在する腸は、睡眠時に活発に活動し、翌朝の便通に備えるのですが、圧迫されて上手く働けないと便秘を誘発する他、消化不良を引き起こしやすくなります。
 

それに、いくらお腹の皮が伸びると言っても限度があります。

仰向け寝をすることで多くの人が感じる張りは、大半がこちらの”物理的にお腹の皮が伸びている”ことにより感じるものです。

無理に引き伸ばされることによって、妊娠線が生じてしまったり、痛みを感じるようになっているのですね。
 

それに血流が悪くなると、本来ならば眠っている間に改善されるはずの足のむくみが解消されません。

足の血流が悪くなると、静脈瘤(ふくらはぎや太ももに血管の筋が浮かぶ現象)が現れたり、血栓症を発症する可能性が高くなってきます。

もし、足のむくみが改善せず痛みを伴ったり、静脈瘤や血栓症のリスクを持っている妊婦さんであるならば、極力仰向け寝は避けるべきでしょう。
 

妊娠後期の仰向け寝は、赤ちゃんにどんなリスクがあるの?

仰向け寝を続けることで、赤ちゃんにとってリスクはあるのでしょうか?

実は、”仰向け寝で苦しくないのであれば基本的に問題ない”というのが、現在の一般的な考え方になっています。

海外の一部の研究機関では、「仰向け寝は死産の可能性が高まる」とする報告もあるようですが、症例数が少なく、今のところ信憑性は低いそうです。
 

ただ、あくまでこれはお母さん側に不調が現れていない=苦しさを感じていない場合の話。

仰向け寝で眠ることで生じる妊婦さん自身のリスクが、結果として赤ちゃんにも影響してしまう可能性は大いにあることだけは忘れてはいけません。

血流が悪くなることは赤ちゃんに渡る酸素量の低下を、消化不良が起きれば赤ちゃんに渡る栄養素が少なくなる――と、文字通りお母さんの状態は赤ちゃんの状態を左右します。
 

ですから、どうしても仰向け寝でなければ寝られない、かつ苦しさやお腹の張り、胎動が激しくなるといった症状がないのであれば、仰向け寝を続けても問題はありません。

ただ、やはり、大きくなったお腹が血管を圧迫していることは事実ですから、どうしても眠れない!という人でない限り、別の体勢で眠るほうがいいでしょう。
 

そしてどうしても仰向け寝をしたい時は、下大静脈を出来るだけ圧迫しないよう、”背中の右側”に丸めたバスタオルやクッションを一つ挟んだり、背中に枕やクッションを挟んで角度を付けるようにしましょう。
 

妊娠後期に一番適している姿勢とはどんな寝方?

では、妊娠中に一番適した眠るときの姿勢とは、どんな姿勢になるのでしょうか?

それはずばり”シムスの体位”と呼ばれる体勢です。
 

まず体の左側を下にして横になり、左足は少し後ろに向けて真っ直ぐ伸ばします。

こうすると、体が少しお腹側に傾きますが、この傾いた体を、右足を膝を曲げた状態で前に出して支えます。

両腕は、左手は背中の方へ回すと体勢が固定されますが、痺れそうだと思うならば、好きな場所で構いません。
 

シムスの体位を行う時、抱きまくらやクッション、巻いたバスタオルを抱えたり、支点になる右膝の下に置くなど工夫すると、膝や股関節の負担を和らげることが出来ます。
 

何故左側を下にするのかというと、先に触れた通り、下大静脈は背骨の右側を通る血管だからです。

同じシムスの体位をとっても、右側を下にしてしまっては、仰臥位低血圧症候群と同じ状態になってしまう可能性がありますから、注意しましょう。
 

個人的なことながら、筆者は普段からシムスの体位で寝ていますが、それでもやはり臨月には、お腹が大きくなったことでバランスが取りづらくなりました。寝相を探して数時間モゾモゾ…という経験もあります。

最終的に、丸めたタオルケットを背中側に置き、お腹側では抱きまくらを抱え、更に右膝の下にもう一つクッションを置く――と、体を固定する方法で眠っていました。
 

妊娠初期から中期にかけては、寝相に制限はある?

妊娠前期や中期までの眠るときの姿勢に何か制約があるのか、というと、これはあまり気にする必要はありません。

一番問題がありそうなうつぶせ寝であっても、まだまだ体の中のスペースには余裕がありますし、子宮内は羊水によって満たされているため、圧力が赤ちゃんにかかることはほとんどありません。

ですから、特に一番体が辛い妊娠前期には、体が一番リラックスして眠れる姿勢を取って、十分な睡眠が取れることを優先するといいでしょう。
 

他の姿勢で眠っている人は、中期頃を過ぎ、体調も落ち着いてお腹が大きくなってきてから、シムスの体位を試してみて、徐々にその姿勢に慣れていくことをお勧めします。
 

お腹はいきなりドン!と大きくなるわけではありませんし、赤ちゃんの位置によっては日ごとに眠りやすい体勢は変わります。

どんなに適していると言われても、逆にシムスの体位では眠りづらいこともあるでしょう。

そして、眠るときの姿勢を気にしすぎて、逆に十分睡眠が取れないことが一番問題があります。
 

そうした時は、無理にシムスの体位で寝続けようとせず、自分が一番リラックスして眠れる体勢で眠ることを優先しましょう。

勿論、仰臥位低血圧症候群には注意が必要ですが、体調が悪くならないのであれば、あなたと赤ちゃんに合った寝相はそれだ、ということです。

ゆったりいい睡眠を取って体力を温存して出産に挑めるよう、自分達に合った寝相を探しましょう。

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