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基礎体温が排卵前なのに高い! 妊娠?病気?それとも…

女性の体のリズムを知る上で、とても重要なのが基礎体温です。

女性なら誰でもご存知の通り、女性の基礎体温は男性と異なり低温期、高温期の二相性に分かれており、この2つの時期が切り替わるタイミングで、排卵、そして生理が起こります。

ただ、時期としては排卵前であるはずなのに、基礎体温が高い、というケースがあります。

こんな時、体に何が起こっているのでしょうか?


そもそも基礎体温は何故、排卵前は低く、排卵後に高くなるのか

まず、何故女性の基礎体温が二相性であるのか、そして排卵と生理により、どうしてこの二期が切り替わるのか知っていますか?

その理由――女性の基礎体温を二相に分けている”犯人”は、『卵胞ホルモン』(エストロゲン)と『黄体ホルモン』(プロゲステロン)というホルモンです。

この2つは、特に女性の体のリズムを変化させるため、”女性ホルモン”と呼ばれます。
 

卵胞/黄体ホルモンは、それぞれ卵巣から分泌されるホルモンです。

卵胞ホルモン

  • 卵巣内の卵子の元(原始卵胞)を成熟させる
  • 妊娠に備えて子宮内膜を厚くする
  • 基礎体温を下げる
  • 生理の終わりごろから分泌が活発になる

○黄体ホルモン

  • 子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に保つ
  • 着床した受精卵が生育しやすい状態を保つ
  • 基礎体温を上げる
  • 排卵後から分泌が始まる

この2つのホルモンの分泌バランスが成り立ってこそ、女性の基礎体温は二相性を保ち、妊娠に適した状態を作っているのです。
 

もし、このバランスが崩れると何が起きるのかというと、生理不順や無月経、無排卵といった症状が出始めます。

排卵前のはずなのに基礎体温が高い。そんなことってある?

まず、生理が始まると、子宮内は一端リセットされます。

これは、今回サイクル内の排卵では妊娠に至らなかったことが確認されたことを受け、脳が子宮に対し、生理を起こすよう命令を出すからです。

そして生理で子宮内をリセットし終わる頃になると、今度は脳が「次の排卵に向けて卵子を成熟させよ」と命令します。

この命令を受けて、卵巣は卵子の元を成熟させ、同時に卵胞ホルモンの分泌が盛んになります。
 

そして卵子が受精に適したことが確認できると、脳は「排卵し、子宮内を着床に向けて整えよ」と命令します。

すると卵巣は卵子を排卵し、その排卵された卵子を包んでいた膜が”黄体”というものに変化し、ここから黄体ホルモンが分泌され始めます。
 

つまり、基礎体温を上げる作用のある黄体ホルモンは、通常排卵後にしか分泌が始まらない”はず”なのです。
 

ですから、基礎体温を計っていて、自分の周期としてはまだ排卵前であるはずなのに、高温期と同様の高めの基礎体温が続いているような時には、

  • 妊娠している
  • 生理周期がずれた
  • 何かしらの体調不良が起きている
  • 基礎体温計の計り方が間違っている

このいずれかが考えられます。

生理はあったのに…基礎体温が排卵前なのに高いのは妊娠!?

もし、生理期間中を含め、基礎体温が高温期と同程度の高さを保ったままだった時には、妊娠の可能性があります。

「え!?生理がきたのに妊娠?」と思うかもしれませんが、受精卵が着床した時に起きる”着床出血”の量によっては、生理と同程度か、少し少ない量の出血になることもあります。

これを”月経様出血”と呼び、実際の生理(月経)とは異なります。
 

また、気付かないうちに着床したけれど、やはりそのまま気付かないうちに流産に至ってしまった(自然流産・稽留流産)時にも、子宮内に残留物があると、基礎体温が高いままになるケースもあります。

ただ、化学流産(妊娠超初期のもの)の場合は、子宮内に残存物が残らず、基礎体温もしっかり下がるのが一般的です。
 

もし、前回の生理後から考えて、妊娠の可能性があるような時には、まず妊娠検査薬での反応を確認するのもいいでしょう。

そして陽性であれば産婦人科を受診し、生理と思われる出血がいつあったのかなどを合わせて医師に伝えましょう。
 

逆に陰性の時には、基礎体温の計り方を確認し、数日様子を観察しましょう。

排卵前に基礎体温が高い時はどんな病気が疑われるのか

妊娠検査薬が陰性であり、生理もしっかりあった。しかし、排卵前なのに基礎体温が高い・低温期に比べて高温期が長い。

そんな時にまず疑われる病気は”黄体依存症”(ハルバン症候群)です。
 

これは、黄体ホルモンが過剰分泌され、高温期が長くなる傾向があります。

そして、生理前の不快な症状(PMS)がそれだけ長く続き、生理の際の出血量も通常よりも多くなる、といった特徴があります。
 

他にも、基礎体温が実際には二相性を保っておらず、体温が一定になっている可能性もあり、この時には”黄体機能不全”や”無排卵月経”といった疾患が考えられます。
 

もし、そうした症状が2〜3ヶ月(生理期間で言うと3サイクルほど)続くようであれば、このような病気を疑い、婦人科で診察を受けましょう。

勿論、妊娠や、その他の大きな病気でなくても、単なる体調不良――それこそ風邪だったり、ちょっとした疲労の蓄積などにより、基礎体温に乱れが生じることは珍しくありません。
それこそ、肉体的な疲労のみならず、精神的な疲労、つまりストレスでも、女性の体のリズムはすぐに狂ってしまうものです。
ですから、モヤモヤと考えすぎず、体と心の休養を優先して経過を見守ることも一つの手段です。

基礎体温によらず、体調に異変を感じたら婦人科を受診しよう

そして、基礎体温を計り始めたばかりの人や、逆に慣れておざなりになった人が陥りやすいのが、基礎体温を正確に計れていない、というケースです。

睡眠時間が短かったり、しっかり舌下の奥に検知部を挟んでいない、うとうとと寝てしまって正しく計れていない、といったものですね。
 

目が覚めると、体温はすぐに(体の動き=筋肉から発する熱で)上昇し始めますから、ゴソゴソと体温計を探しているうちに上昇しただけだった、なんてこともあり得ます。

しっかりデータが取れなければ、それこそ朝の貴重な時間を無駄にすることになりますから、最小限の動きで測定が計れるように工夫したり、自分に合った婦人体温計を用意しましょう。
 

ただ…他に何かおかしいと思うこと(痛み・かゆみ・不正出血・おりものの異常)が起きたなら、すぐにでも婦人科を受診して下さい。

女性にとって婦人科は、本当に敷居が高く感じる場所ではありますが、女性特有の病気の発見・治療には絶対避けて通れない場所です。

将来「あの時もっと早く」という後悔をしないためにも、異変を感じたり、基礎体温に狂いが認められた時には、必ず病院を受診することが一番重要なことを忘れないでください。

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