発達障害の子供は運動が苦手?発達障害のいろんな疑問
発達障害という言葉は大分認知されてきました。でもそれでも十分とはいえません。
また、中途半端な理解が、無知よりも問題視されることがあるように、誤解もまねいています。
例えば発達障害の子供の中には運動が苦手な事もありますが、運動が苦手な子が全て発達障害ではありません。
ここでは発達障害に関するいろんな疑問についてご説明いたします。
そもそも発達障害とはどういう症状?
社会性や対人関係において一定の障害があり、上手に社会に適応できない状態です。その障害は人によって個人差があります。私たちが発達障害と聞いてイメージするのは、「落ち着きがない」「じっとしていられない」「集中できない」といった症状でしょう。
これは「ADHD」と呼ばれる症状で、日本語では「注意欠陥多動性障害」と言います。
また、「自閉症」も発達障害のひとつです。「自閉症」といえば、映画「レインマン」でも扱われているように、自閉症をテーマにした映画やテレビドラマもたくさんあるので、ご存知の方も多いと思います。
また、言葉の発達は特に問題のないものの、社会的な部分で自閉症に極端に類似した「アスペルガー症候群」というタイプもあります。
また、知的障害ではないものの、特定の分野、例えば読むことや計算が極端に苦手というタイプの発達障害を「学習障害」と言います。
このように一口に発達障害といっても、それぞれ特徴に応じて色々とタイプが分かれており、またその症状にも個人差があります。
発達障害は治療可能?
治療可能か否かという質問であれば、否という答えになります。
ただしここは議論の別れるところで、そもそも「発達障害」を障害とみなすべきか否かという点でそれぞれ意見があります。
確かにこの症状がみられる人は、社会性や対人関係において問題を抱える人が少なからずいます。しかし、問題行動がない場合は、それは個性として見るべきではないかという考え方です。
しかし、その一方個性と捉えられると、努力や本人の意思で改善できるものと思われ、当人にどうにもできないものに対して、理解を得られないという面もあります。
発達障害の原因は脳の情動に関する機能が障害を起こしているという説が有力です。
しかし、現在行われている治療というのは、脳の機能に対して何か直接的な治療を行うというのではなく、この症状と上手に付き合いながら、社会性や対人関係のスキルを身に着けていくという方面になり、投薬治療もそれをサポートする動きのものになります。
つまり、これらの症状は軽減することはあっても完治はしないのです。
発達障害の子は運動が苦手?
苦手な場合が多いようです。
しかし前述したように運動が苦手だからといって発達障害とは言えません。
では何故発達障害の子は運動が苦手なのでしょうか?
これは自分を客観的にイメージするのが苦手だったり、体の動きをまとめるのが苦手だったりするためと言われています。
私たちは自分の体を動かすとき、例えばこういう風に動かすというような自己イメージがあります。それ通りに動けるかはその人の反射神経によりますが、発達障害の子の場合は、そもそもこのイメージを上手く描くことが出来ず、結果ぎこちない動きになってしまうのです。
また、例えば私たちは走るとき、手と足を交互に動かします。しかし、小さい子供は時々右手と右足が同時に出たりするのをみたことがあると思います。小さい子供は注意をするといつの間にかできるようになりますが、発達障害の子の場合は、それを無意識にするのがとても苦手なのです。そのため、意識をすれば余計体の動きはぎこちなくなり混乱してしまうのです。
発達障害の子が苦手な事は?
やはりコミュニケーションが苦手です。しかし話せないという意味ではなく、話すのは上手の場合もあります。しかし、一方的に話してしまったり、相手の言い分を無視して、自分のしたい話しかしないという傾向があります。
そして想像するのも苦手。こういう事を言うと人が傷つくと想像できないので、思った事をそのまま言ってしまったり、行動したりしてしまいます。
また変化が苦手という場合もあります。慣れた環境でないと落ち着かず、新しい事に直面すると落ち着きがなくなったり、パニックを起こす場合もあります。そのため大きな音を怖がったり、同じものしか食べなかったりする子もいます。
集中するのが苦手だったり、逆に集中しすぎて他の事が目に入らなくなる場合もあります。
感情を抑えるのも苦手なので、興奮すると手が付けられなくなったりする事もあります。
頭の回転はいいのに、ひらがなが書けない、計算ができない、本が読めないなど特定の分野だけが苦手な場合もあります。
発達障害の子は苦手な運動を克服できる?
ある程度のレベルまででしたら可能です。
苦手なだけで「できない」訳ではないからです。
確かに他の子と比べてとても時間が掛かったり、手間が掛かったりします。しかし時間をかけてゆっくりと教えていけば、克服できるのです。
他の苦手なものもそうです。
徐々に簡単なものから初めて、出来たら次のステップを習得する。そういった繰り返しである程度マスターすることができます。
しかし発達障害の苦手なものは「頑張ればできる」といった精神論では克服できないものです。発達障害の子供は脳に機能障害を抱えていますので、どうしても一定以上は出来ない場合はあります。下手な無理強いは本人のやる気すら奪ってしまうので、オススメできません。
逆に得意な分野を活かせるようにしてあげるというのも、また上手な発達障害の付き合い方と言えます。歴史の偉人の中には、恐らく発達障害だろうと思われる人も含まれていますが、特定の分野に秀でて、それが上手く結果を残すことも十分にありえるのです。
発達障害に一番大切なのはいかにその特徴と付き合うかということなのです。