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妊娠高血圧症候群はどう予防すべき? 発症原因やリスクとは

   

妊娠高血圧症候群はどう予防すべき? 発症原因やリスクとは

妊娠高血圧症候群とは、その名が示す通り、妊娠が原因で高血圧となり、様々な合併症を引き起こす病気です。

ほんの少し前までは妊娠中毒症と呼ばれ、時に母子の命に関わる恐ろしい病気として認知されてきました。

この病気の原因、そして予防法とはどんなものか見ていきましょう。

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妊娠高血圧症候群って一体どんな病気?その症状は?

妊娠中の女性の心と体は、妊娠前とは比較にならないほど、大きな負担が掛かっている状態になります。

よく耳にするマタニティブルーは、その負担が心に現れた時の総称として有名ですね。

ただその内容は様々で、妊娠、出産に対する心理的な不安に、ホルモンバランスの激変から来る不安、夫との関係の不安――など、様々なもので心が疲れて情緒不安定になる状態を指します。

対して、体にも、色々な不調が現れることがあります。その一つが”妊娠高血圧症候群”です。
 

妊娠高血圧症候群という名前を聞いても、あまりピンとくる人はまだ少ないのではないでしょうか?実は、少し前まで、この病気は”妊娠中毒症”という名前で呼ばれていました。こちらの名前は、耳にしたことがある人も多いでしょう。

何故、このような改称が行われたかというと、その名の通り、”妊娠が原因で高血圧になっている”ことが主因であることが研究により分かってきたからです。

妊娠高血圧症候群として診断されるのは、

・妊娠20週以降から分娩後12週までの間に通常時よりも高い血圧を示す

・高血圧と尿たんぱくが出ている

のいずれかの場合です。

そのため、病院で妊婦健診の度に血圧や尿検査が行われ、高血圧や尿たんぱくが出ていないか等を検査している、というわけでもあるのです。
 

妊娠高血圧症候群の自覚症状として、一番妊婦さん自身が感じるものが”むくみ”です。

それまで履いていた靴が入らなくなる、靴下の跡がなかなか戻らない、指で押した跡が消えない――と、足に出るむくみで気付くことが多いのです。

ただ、このむくみは、妊娠高血圧症候群ではない、通常の妊婦さんにも起きる症状であるため、これだけで判断することは出来ません。

他には、頭痛、めまい、だるさなどを感じるのも特徴として挙げられますが、これ等もちょっとした体調不良との見極めが難しいもので、素人では判断が付きにくいです。

そのため、重要視する必要はないのでは?と軽く思うとしたら、それは大きな間違いです。
 

妊娠高血圧症候群の恐ろしいところは、症状が進行すると妊婦さん自身に負担がかかり、脳出血、肺水腫、肝機能・腎機能障害といった合併症が起こることです。

また、血流に障害が起きているため、お腹の赤ちゃんに十分な栄養と酸素が行き届かず、胎児発育不全や胎児機能不全を起こし、低体重児や脳に障害を持って生まれる可能性が高くなります。

他にも、胎盤が出産前に剥がれてしまう”胎盤早期剥離”や、溶血、血小板の減少を伴う”HELLP症候群”、時にとても恐ろしい”子癇(ししゃく)発作”を起こす可能性があるからです。

子癇発作も、あまり聞き覚えがない言葉かも知れませんが、妊娠高血圧症候群の中でも最も重い合併症です。

子癇発作が起きると、妊婦さんは意識を失い、全身の痙攣を起こし、これを繰り返します。そしてそのまま胎児と共に命を落とすことすらあるため、産科では特に妊娠高血圧症候群に注意を払っているのです。
 

 

妊娠高血圧症候群の原因、実は未解明!?

では、何故妊娠高血圧症候群が起きるのでしょうか?

このメカニズムについては、実は、未だ解明されたとはいえない状況です。

”この病気の症例の一つが高血圧”なのではなく、”この病気の原因が妊娠中からの高血圧”であることが分かったのも最近で、認知度の高かった妊娠中毒症から呼称が変わったことも、こうした状態故のことなのです。

ただ、その中で有力視されている説としては、

・胎盤に血を送り込む子宮の血管の作りが不完全で、胎盤と行き来する血流が上手く流れないため、血圧が高くなる

・母体が妊娠に慣れず、赤ちゃんを異物として誤認識し、除去しようとするために血圧が高くなる

があります。

尿たんぱくが診断の鍵になるのも、血圧の高さに腎臓の機能が付いて行かず、本来ならば尿に出ることのないたんぱく質が現れるのだとされています。
 

ただ、その発症リスクについては、徐々に判明してきています。

・年齢が15歳以下、または35歳以上

・BMI数値が25位上の肥満体型

・以前から高血圧、甲状腺機能障害、糖尿病などの病気を発症している

・妊婦の母親が妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)を発症している

・初産、または以前に多胎妊娠(双子、三つ子など)や胞状奇胎などの異常妊娠の経験がある

上記に該当する人は、そうでない人に比べ、妊娠高血圧症候群を発症するリスクが高いため、更に注意深くなる必要があります。
 

妊娠高血圧症候群を発症するのは、妊婦さんの中でも1割未満と言われており、妊娠後期である8ヶ月以降に発症する(遅発型)ことが多いと言われています。

ただ、妊娠前期、中期から発症する人(早発型)も存在し、その発症が早ければ早いほど、重症化しやすい傾向があることが分かっています。

ですから、妊活を考える際には、自分で予防できること――肥満の改善や、高血圧の改善、妊娠適齢期中を目標にする、などが必要になってきます。
 

 

妊娠高血圧症候群になると帝王切開は確定になるの?

妊娠高血圧症候群と診断された場合、帝王切開になる可能性が高い、という体験談を多く目にします。

「それまでの主治医に変わり、院長先生から説明を受けて、急遽、帝王切開での出産になった」

「NICU(新生児集中治療室)を備えている病院への転院後、即帝王切開で出産、低体重児での出産になった」

「子宮口も開いていないため、管理入院からの帝王切開になった」

といったものが主流です。
 
しかし中には、

「臨月、しかも出産当日になって妊娠高血圧症候群と診断、帝王切開の可能性もあったけれど、無事に経腟分娩だった」

「陣痛促進剤を使用して短時間の経膣分娩、緊急帝王切開の準備もされていた」

という経験者の話もあります。

帝王切開か、経膣分娩か、この差は何故生まれ、またどうして何故、妊娠高血圧症候群になると、帝王切開になる率が高くなるのでしょうか?
 

この答えは実に単純で、ただただ純粋に、”母子の命を守るため”です。

経膣分娩の時、お母さんは陣痛に合わせていきむ必要があります。つまり、血圧は否応なく上がることになります。こんな時、妊娠高血圧症候群で、既に限界まで血圧が高くなっていた時、体中の血管や心臓は、その負担に耐え切れると言い切れるでしょうか?

また、分娩中に、先に触れた子癇発作が起きる可能性もありますし、そもそも赤ちゃんに上手く栄養が送れていないような状況では、赤ちゃんの体が予定日まで持たない可能性も高くなってきます。

ただ、遅発型の妊娠高血圧症候群で、かつ症状が軽い、赤ちゃんの推定体重も十分に足りているなど、リスクが低いと判断された時には、自然分娩に踏み切る考えの病院もあります。
 

経験談の中には「先生は切りたがり(帝王切開をしたがる)」といった揶揄も見受けられますが、逆に言えば、お母さんと赤ちゃんのリスクを最小限に考えている、絶対に自分の担当する患者さんにそうした思いをさせたくない、と考えてくれている、とも言えるのではないでしょうか。

確かに、女性にとって帝王切開は、お腹に傷が残ることですから、軽視できるものではありません。未だに帝王切開に対する偏見もありますから、出来るだけ避けたい、自然なお産をしたい、と考えるのも当然です。

ですが、この妊娠高血圧症候群に関わらず、帝王切開を先生から提案される時というのは、母子の”その後”のリスクを最小限にしようとしている、という大前提を、どうぞ理解してください。
 

 

妊娠高血圧症候群で入院が必要なケースとは?

重度の妊娠高血圧症候群になると、入院による治療が必要になるケースがあります。

特に、血圧や尿たんぱくの濃度が非常に高い場合や、出血がある時などは、緊急入院になることも珍しくなく、こうなると絶対安静が必要になります(特に出血がある場合には高確率で入院、とされることが多いようです)。

一般的に、軽症であれば自宅療養がほとんどですが、重症と診断された場合に入院になる、と考えていいでしょう。

その目安としては

・血圧が160/110mmHg以上

・尿たんぱくが2g/日以上

であるとされています。
 

入院中、高血圧や尿たんぱくの改善のための治療が行われますが、投薬治療はあまり積極的に行われません。何故なら、薬により血圧が急激に下がると、その分胎児に対する負担が増えてしまうからです。

ならばどんな治療が行われるか、というと、”安静”と”食事療法”の2点です。

しかし、状態によっては時には光による刺激をも避ける必要があるため、病室を暗室状態(もしくはアイマスクの使用)にすることもあります。

テレビやラジオ等も禁止、歩くことも絶対禁止、ということも珍しくありません。

ただただ、ベッドの上で耐えることを余儀なくされ、非常に辛かった、という話もよく目にします。
 

勿論、高血圧などが改善されれば退院となり、自宅での経過観察に切り替わりますが、自宅に戻ってから無理をしてしまい、再入院や即帝王切開になる人も少なくありません。

しかし、妊娠高血圧症候群の高血圧はなかなか改善が難しいもので、出産まで管理入院をした、というケースも珍しいものではありません。
 

その為、もし、自分が妊娠高血圧症候群の疑いがあると言われた場合には、通院時の血圧・尿たんぱくの検査に頼るのではなく、自分でも普段からこれらの管理をしてみましょう。

血圧計は、ドラッグストアでも購入できますし、尿たんぱくの検査薬も同じく店頭に置いてある店が増えてきました。

もし近場に置いてある店がなくても、インターネットで注文も可能な第二類医薬品ですから、手元に置いて体調管理をすることも考えておきましょう。
 

 

妊娠高血圧症候群を防ぐ食事の基本とは?

妊娠高血圧症候群の原因が特定されていない現在では、やはり、まずは”高血圧にならない”ことが最大の予防法だと言えるでしょう。

高血圧を引き起こすのは、日々の疲れやストレス、そして何より食生活での塩分の摂り過ぎと、妊娠中もそれ以外の時も変わりません。

特に、普段から摂りがちになっている食塩の量は、本来ならば10g以下が好ましいとされています。

ただ、人間の味覚というものは、濃い味付けに慣れてしまうと、突然減塩食に切り替えても、逆にストレスを感じてしまうというやっかいな性質を持っています。

ですから、本来であれば妊活中から、減塩に取り組む必要があると言えます。

それにその後の生活――赤ちゃんが無事に生まれ、育ち、家族全員で健康に暮らしていくことを考えても、塩分の摂り過ぎは一家全員で避けたいものです。
 

また、体重管理も重要な予防法の一つです。

妊娠前から肥満体型の場合のみならず、妊娠中に体重が増えすぎると、やはり妊娠高血圧症候群のリスクが高まります。

それに、肥満状態は、例えこの病気を発症していなくても、出産時や産後に大変な思いをすることに繋がりかねませんし、そもそも不妊の原因の一つでもあるのですから、健康的なからだづくりを普段から気にかけるといいでしょう。
 

そしてもう一点、妊活中及び妊娠中の女性にとって有効な葉酸が、実は妊娠高血圧症候群でも効果があるのではないか、と現在研究が進められていることも、是非覚えておいて頂きたいと思います。

葉酸が体にもたらす恩恵はいくつもありますが、その中に”正常な血液の増加”、”血流の改善”があり、この作用が、妊娠高血圧症候群の治療に効果を発揮する可能性があるのです。

そもそも、妊婦が高血圧になりやすいのは、まさに”足りない血液で必死に体を支えるため、止む無く血圧が高くなる”ためであり、栄養素を十分に全身に運ぶだけの血液があれば、血圧が高くなる必要がなくなるのです。

また、その血を運ぶ血流も、葉酸が必要量摂取できていれば改善していきます。血流が滞り無く正常であれば、やはり全身に無理なく血液が届くようになるのですから、まさにいいことづくめと言えるのです。

加えて、葉酸は、赤ちゃんの成長にも、そしてお母さん自身の健康のためにも、なくてはならない栄養素の一つ。

是非、普段の食生活において、葉酸を摂取する機会を増やし、少しでも妊娠高血圧症候群のリスクを減らしましょう。

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