内診後の出血、どんなものは危険?鮮血は?茶色の時は…
産婦人科での妊婦健診につきものの内診。
この内診後、出血することは珍しくはありませんが、それが茶色の出血である時には、それが出産間際の”おしるし”なのか、それとも”内診出血”か、はたまた”異常出血”か、気が気ではありませんね。
他にどんな症状がある時には、急を要するのか。逆にどんな状態ならば心配はないのかを見ていきましょう。
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内診の後に出血!?鮮血や褐色、茶色であれば何が疑われるのか
妊婦健診の内診で出血すること自体は、そう珍しいことではありません。
勿論、出産まで一度も出血しなかった!という人もいますが、毎回必ず出血した、という人もいて、まさに人それぞれです。
何故、医療行為である内診で出血するのかというと、それは妊娠中の膣が、非常にデリケートであることが原因です。
そもそも膣内は粘膜状で傷つきやすい場所であるのに加え、ホルモンバランスが通常時と著しく変化している妊娠中は、輪をかけてデリケートになっています。
ですから、触診、器具による検査、更に(特に初回の妊婦健診の時に行われる)体組織採取などをすれば、出血をするのもある意味当たり前のことなのです。
こうした出血のことを、”内診出血”と呼び、その大半の場合はすぐに出血も止まり、お母さんは勿論、お腹の赤ちゃんにも何の問題もありません。
実際、内診や内診出血が原因での流産や早産が起きるリスクは限りなく低く、起きることはないとも言われています。
ただ勿論、妊娠後の全ての出血が内診出血とは限りません。
それを見分けるポイントが、出血の量、痛みの有無、そして出血の状態や色――鮮血か、それともピンク色や褐色、茶色のおりものか、などです。
内診出血の色が茶色でも、量が少なく痛みがなければ心配ない?
実際、内診を受けた後、主治医や看護師から「出血があるかもしれません」と前もって言われることもあるように、内診出血は妊婦にとって珍しいものではありません。
しかし、特に初産の人や、経産婦であっても以前の妊娠時にはなかった出血があれば、不安になって当然です。
もし、内診後に出血が見られた場合には、落ち着いてその状態を確認しましょう。
- 内診直後から少量の鮮血やピンク色のおりものがつく
- 内診からしばらく時間が経った後、少量の茶色や褐色のおりものがつく
加えて、腹部に張りや痛みがない場合には、1日ほど様子を見ましょう。
内診出血だった場合には、どんなに長くとも2日程度で止まり、また大量に出血することはありません。
そして、鮮血ではなく茶色いおりものだったとしても、出血してから出てくるまでに時間が経ったことで血液が酸化して茶色く見えているだけで、量も多くないのであれば心配はいりません。
鮮血や茶色のおりものが大量に出る時には内診出血でない?
ただ、内診後に出血があったからといって、その全てが内診出血とは限らず、注意しなければならない出血もあります。
すぐに医師・産院に連絡を取ったほうがいいとされる出血はどのようなものかというと
- 鮮血、(ピンク、茶色問わず)色の付いたおりもの、水状のシャバシャバとしたおりものが”大量に出る”
- 下腹部や膣内に痛みがある
- レバー状の塊が、血液やおりものにまじって出る
ポイントは、生理用品を必要とするほどの量が出ているか、という点と、腹部に痛みがあるかどうかという点です。
このような症状がある時には、それは内診出血ではなく、何かしらの異変による”異常出血”の可能性が高くなります。
異常出血の原因は、妊娠初期、中期、後期によって異なります。
もし妊娠初期、またはまだ子宮内に胎嚢の確認ができないような超初期の場合には、子宮外妊娠や胞状奇胎といった異常妊娠、化学流産(受精卵側の異常による流産)、そして切迫流産などが疑われます。
中期以降になると、胎盤早期剥離や切迫早産、前置胎盤や子宮頸管無力症といった可能性が疑われます。
いずれにしろ、出血量が多く、痛みを伴う場合には、速やかに産院に連絡をし、指示を仰ぐべきです。
妊娠後期の内診後には出血しやすい?そのまま出産になることも…
妊娠後期の正産期(37週0日〜)になると、それまでの内診での検査項目に加え、子宮口の硬さのチェックなどが加わることがあります。
これは医師が触診により、子宮口の硬さやその開き具合を触って確認するもので、これを”内診ぐりぐり”と呼ぶ流れもあり、体験談などで「内診ぐりぐりで出血した!」「その後お産に繋がった!」という話も多く見られます。
痛みや不快感もありますし、やはり出血がある人も多いのですが、痛みや出血が続いて不安に思うのであれば、産院に問い合わせてみましょう。
また内診後に”おしるし”(産徴)が出た、という人も少なくありません。
おしるしとは、赤ちゃんがそろそろ生まれるぞ、という時に、子宮口が開きだし、その時に今まで赤ちゃんが子宮から落ちないように子宮口で栓となっていた卵膜が剥がれ落ちる現象を言います。
粘膜が剥がれるため、それに血が混じって出て来ることも少なくなく、このおしるしがあってから数日のうちに出産になることがあります。
内診の刺激が、このおしるし、そして実際の陣痛に繋がることも少なくありません。
正産期に入った後の妊婦健診の際には、予めすぐに入院できる準備を整えておくといいでしょう。
内診は妊婦と胎児に必要不可欠 リラックスして受けましょう
内診は必要不可欠な医療行為とは言え、やはり女性にとってあまり慣れることのない診察内容です。
加えて、妊娠しているが故に、普段より更にデリケートな状態になっている膣内ですから、痛みがあったり、出血があれば、時に医師に対して不信感を感じてしまう人も少なくありません。
ただ、非妊娠時の婦人科検診の時は勿論のこと、妊婦健診での内診は、異常があった際にすぐに処置が出来るよう、万全の体勢で行われています。
ですから、深呼吸をしたり、心を落ち着けて、まずリラックスできるようにしましょう。
リラックスできれば、腹部にかかる不要な力が抜け、それだけ内診出血が起きにくくなります。
勿論、医師によって熟練度が違うため、A先生は痛みを感じないのに、B先生の時は痛い、そんな時もあるでしょう。
ただ、まず痛みを感じるならば、その時点で医師にその旨を伝えてもいいのです。
そしてやはりどうしても痛みが耐えられないならば、主治医の変更を望むのも、患者側の権利です。
また男性医師が嫌ならば、最初から、女性医師を主治医にしてもらうことが可能な産院を選ぶなど、自分からも少しでもリラックスした状態で出産に望めるよう、情報を集め、準備を整えましょう。
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