排卵検査薬ってどんなもの?使いはじめるタイミングとは
妊活中の女性の強い味方である排卵検査薬ですが、その入手方法が限られているため、中々その仕組みや使うタイミングを把握している人が少ないのが現状です。
実際、この検査薬は、どんなタイミングで使えば一番効果的なのでしょうか?
このページの目次
排卵検査薬は妊娠への強い味方! でも使うタイミングは?
妊娠を待ち望む女性にとって、一番重要になってくるのはやはり排卵日でしょう。
そんな時にまず役に立つのが、毎朝行う基礎体温のチェック。
基礎体温を継続して管理することで、自分の生理周期は何日なのか、生理開始日から何日後に排卵が起きるのか…と、より妊娠の可能性を高めることが出来るばかりか、体調の変化や病気の有無などにも気付きやすくなります。
ですが、基礎体温を既に付けている人ならばご存知でしょうが、女性の体はとてもナイーブなもの。
ちょっとしたストレスや風邪で、基礎体温は崩れがちになりますし、インターネットで見かけるような、理想的な基礎体温グラフにならず、いつが排卵日なのか、ピンポイントで知るのは中々難しいものです。
そして何より、排卵された卵子の寿命は24時間ほどしか無く、かつ、受精に適しているのはまたそのうちのたった8時間ですから、ある意味時間との勝負になってしまいます。
そうしたタイミングを出来るだけ逃したくない。そう考えた時、強い味方になってくれるのが”排卵検査薬”です。
ただ、排卵検査薬は、通常の妊娠検査薬のように薬局やドラッグストアで簡単に手に入るものではありませんから、使い方を十分理解した上で役立てましょう。
そもそも女性の生理や妊娠はどんなメカニズムで起きているの?
そもそも女性の生理(引いては妊娠も)は、何種類ものホルモンのバランスと働きによって起きる現象です。
この中で特に有名なものは、”卵胞ホルモン”(エストロゲン)と”黄体ホルモン”(プロゲステロン)であり、この二つのホルモンを合わせて”女性ホルモン”と称します。
前回の生理が終わると、女性の体は次の排卵に備え、卵巣内の原子卵胞が成長を始めます。同時に、生理でリセットされた子宮内膜が徐々に厚みを増していきます。
これが”卵胞期”と呼ばれる時期で、卵胞ホルモンの作用により基礎体温が低温であることから”低温期”とも呼ばれます。
この卵胞期には、卵胞ホルモンが卵巣から分泌されています。
やがて原始卵胞が育ちきり、卵巣から排卵されます。これが排卵となり、この前後の3日間を”排卵期”と呼びます。
その後、卵巣内で原始卵胞を包んでいた卵胞という組織が黄体へと変化し、この組織から黄体ホルモンが分泌されます。
黄体ホルモンは、卵胞ホルモンの働きによって厚みをましていた子宮内膜を柔らかく変化させ、子宮内をやがて来る受精卵を受け止めやすい環境へと整えてくれます。
この時期を”黄体期”と呼びますが、黄体ホルモンの作用で基礎体温が高くなることから”高温期”とも呼ばれます。
もし、この黄体期の間、つまり生理が始まる前に受精卵が着床すれば、当然生理は来ず、黄体ホルモンの量はさらに上昇します。逆に着床しなかった場合には、黄体ホルモンの分泌が収まり、生理が始まる――これが女性の体の中で起きている生理のメカニズムです。
排卵の鍵を握る黄体化ホルモンってどんなもの?
この生理周期を管理しているのは、脳の視床下部と呼ばれる部位です。
視床下部は、脳の中心に位置し、生理のみならず人間の体を常に見張っている、いわば司令塔とも呼べる場所です。
こと生理においては、血液中の黄体ホルモンの量を常にチェックしていて、生理が始まる、つまり妊娠せずに黄体ホルモンが”増えて、減った”ことを認識してしばらくすると「次の妊娠に備えるよう準備せよ」と、脳下垂体というホルモンの分泌を司る部位に命令を出します。
この命令を受けると、脳下垂体は「卵胞ホルモンを分泌して原始卵胞を成熟させよ」というサインを卵巣に送ります。
このサイン、実は”卵胞刺激ホルモン”(FSH)というホルモンにより行われているのです。
続いて、十分に原始卵胞が育ったことを、卵胞ホルモンの量から判断した視床下部は、今度は脳下垂体に対して「卵子が十分に育ったので排卵を行え」と命令します。
これを受け、脳下垂体は”黄体化ホルモン”(LH/黄体形成ホルモン)の分泌量を急激に増やし卵巣に対して排卵を促します。
つまり、正常に卵子が排卵されるときには、この黄体化ホルモンが大量に分泌される、”LHサージ”という現象が発生します。
そして通常であればLHサージが体内で起きて、24時間から48時間の間に排卵が起きる仕組みになっています。
排卵を起こす”LHサージ”にタイミングを合わせて
実は、黄体化ホルモンは、性別や排卵の有無に関わらず常に体内で分泌されているホルモンです。
そのため、排卵検査薬は、LHサージが起きたと推測される、”尿に含まれる黄体化ホルモンの分泌量が一定以上”になった時に陽性反応を起こします。
一般的に言えば、尿中に含まれる黄体化ホルモンの量が20mIU/mlを超えれば、LHサージが始まっている、と判断されます。
※ただし、排卵検査薬の尿中LHの検出感度は製品によって異なります。
先に述べた通り、一般的にLHサージが起きてから24時間から48時間の間に排卵が起きます。対して男性側の精子の寿命は一般的に2〜3日です。
そして、排卵されて間もなければ間もないほど、卵子の受精する可能性は高まります。
以上を踏まえると、妊娠を望むのであれば、LHサージが起きたタイミングで、かつ数日間性交渉を行うのがいい、と言えるのです。
ただ、問題は、”いつLHサージが起きるか”という点です。
生理が比較的、規則的に起きる人であれば、低温期から高温期に切り替わるタイミングを見計らうのは比較的簡単と言えます。
しかし、ストレスやその他の婦人病などで生理不順が続いている人や、基礎体温の低温期・高温期の差が分かりにくい人、そもそも基礎体温を付けていない人――などは、LHサージが起きるタイミングが計りづらくなってしまうのです。
排卵検査薬を使いはじめるタイミングはいつにすればいいの?
LHサージが起きるタイミングを確実に把握したいのであれば、一番確実なのは、”生理が始まった日から使用する”ことだと言えます。
ただこの方法では、かなりの数の検査薬が無駄にしてしまう可能性がありますから、現実的とは言えません。
そのため、
○生理周期が安定している人
・基礎体温から予測できる排卵予定日の4,5日前から
○生理周期がバラバラ、基礎体温を測っていない人
・生理が終わったタイミングから
・過去の生理周期で一番短い日数を基準にして計算し、17〜20日程度前から
というタイミングで使いはじめるといいでしょう。
ただ、どんな生理周期の人でも、以下の様な場合は何かしらの病気がある可能性があります。
・いつ、どのタイミングで検査をしても陽性反応が出ない/出る
・検査薬で陽性反応が出ても、高温期にならない
・基礎体温が二層性(低温期・高温期)にならない
・妊娠はしていないのに、2ヶ月以上生理が来ない
・生理周期が25日未満か、38日以上
こうした症状が見られる時は、(生理不順の場合は3ヶ月以上)この状態が続く場合には、速やかに婦人科を受診するようにしましょう。
「もう少し様子を見よう…」と放置してしまうと、妊娠どころか排卵すら起きなくなる可能性があるからです。
排卵検査薬を入手するには、どんな方法があるの?
現在、日本国内で正規の方法で入手できる排卵検査薬は、最初に述べた通り、普通の薬局・ドラッグストアでは購入できません。
これは薬事法が改正されたことによるもので、排卵検査薬や早期妊娠検査薬は、薬剤師が常駐している調剤薬局(処方箋を提出し、薬を処方してもらうタイプの薬局)でのみ購入が可能です。
ただ、こちらの日本製のものは、価格が高く(7回分で3000円程度など)、かつ購入時に本人確認と薬剤師による問診が必要です。
特に生理不順などで長期間に渡ってLHサージのタイミングを図りたい女性にとって、これはとても、手が出しづらい現状と言えるでしょう。
ただもう一つ、代行輸入による海外製の排卵検査薬を購入する、という手段もあります。
こうした海外製のものは、日本製のものに比べてストリップタイプと呼ばれる検査ろ紙がむき出しになっているタイプが主流で、扱いづらい・精度がよくないものがあるという意見も散見します。
このような代行輸入品を選ぶ時は、その業者が信頼できるか、個人情報の取り扱いが適切に行っているか等を見定める必要もあります。
そうした短所はありますが、それでも価格は圧倒的に安く、10回分でも1000円だったり、購入数が多くなれば安くなる傾向もありますし、何より宅配である、プライベートを話す必要がない、というメリットがあります。
排卵検査薬は、あくまで妊娠の”サポート役”
ただ、やはり一番確実なのは、
- 基礎体温の管理をし、自分の生理周期をしっかり把握する
- 生理不順などが続いているのであれば、一度婦人科を受診する
この2点を徹底することだと言えます。
生理周期が把握できなければ、例え安価な海外製の排卵検査薬を使っても、単にお金を無駄にしてしまう結果になります。
それに、そもそも自分の体に何かしらの異変(無排卵月経や排卵障害、子宮内膜症など)があり、妊娠しにくい状況に陥っている場合は、いくら排卵検査薬に頼ったところで、望む結果は得られません。
忙しい現代女性にとって、毎朝の基礎体温の測定は億劫なもの。
そして、婦人科を受診することは、女性にとってどうしてもいいイメージがないことです。
ですが「もしかして何か原因があるのかも」と悩みつつ、そしていつまでも妊娠出来ない、という状況は、想像以上に体にストレスを生じ、ますます妊娠から遠ざかってしまいます。
排卵検査薬はあくまで妊娠のサポート役です。
まずは妊娠しやすい体を作り、その上でタイミングを見計らって、排卵検査薬のサポートを受け、妊娠に繋がるように行動する。
そして何より、パートナーとの時間を大切にし、心穏やかに二人で妊娠を迎えられる環境を作る。
これが一番の近道であることを忘れず、妊活を続けましょう。