早期妊娠検査薬の”うっすら線”、陽性と陰性はどう判断する?
通常の妊娠検査薬よりも、10日程早く使用することができる”早期妊娠検査薬”。
ただ、時に判定線がうっすらとしすぎていたり、色が違ったり…と、なんとも判断にこまる結果が出ることがあります。
その原因や理由は何なのでしょうか?
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早期妊娠検査薬を使ったけれど、判定がうっすら過ぎて分からない!
女性にとって、妊娠はその後の生活環境――つまりライフステージの変わりとなる、一大イベントです。
ですから、「もしかして」と思う状況では、少しでも早く妊娠の有無の確認したい!と思うのも当然といえば当然ですね。
ただ、普通の薬局やドラッグストアで購入できる妊娠検査薬、そして産婦人科での妊娠判定も、どちらも”生理予定日の1週間後”を目安に検査をすべきと言われています。
「1週間なんて待っていられない!1日でも早く妊娠判定がしたい!」
そんな人の味方になってくれるのが、”早期妊娠検査薬”です。
早期妊娠検査薬は、通常”生理予定日の2日前”使用できるもので、使用方法は通常の妊娠検査薬と同じで、決められた秒数間尿をかける、または採尿した尿に浸す、という方法に変わりはありません。
では、何が違うのかというと、”尿中に含まれるhCGホルモンに対する感度が高い”ことが特徴です。
通常の検査薬が50IU/Lという数値であるのに対し、早期妊娠検査薬はその半分以下の20〜25IU/Lで反応するため、早く検査が出来るというわけです。
ただ、こうした早期妊娠検査薬を使っても、その判定がうっすらとしすぎて分かり辛い!という声も多く聞こえます。
このような場合、どう判断すべきなのでしょう?
妊娠検査薬で判断ができないような場合は、何が原因なの?
早期・通常のものに関わらず、妊娠検査薬の検査結果がうっすらとしていて判別がつかない、という場合、考えられる第一の原因は”検査する日が早すぎた”ということが挙げられます。
俗にいう”フライング検査”をしてしまった場合などがこれに当たります。
ただ「では逆に検査日をもっと遅くにすれば、検査薬はしっかり反応するの?」というと、そうとは言い切れないのです。
hCGホルモンの分泌が最も多くなる妊娠10週目の時期や、検査時期は適切でも、多胎妊娠で(双子以上)hCGホルモンの分泌が多くなり、検査上限を超えてしまった時にも、判別がつかない結果が出てしまう可能性があります。
次に多いのは、妊娠初期のhCGホルモン量が微量なのに加え、尿の量が多くて更にhCGホルモンが薄まってしまうことが原因になっていることがあります。
大抵の妊娠検査薬は「何時の時間帯の尿でも検査可能」と言われていますが、日中、特に水分を多く摂っている時間帯の尿は薄まりがちです。
対して、寝起きであれば、当然眠っている間は水分を摂っていませんから、尿の濃度も高くなり、判定結果が分かりやすくなる傾向があります。
また、検査薬の使い方を間違ってしまうことも原因になり得ます。
検査薬に染みこんだ尿の量が少ない場合や、逆に指定時間以上尿をかけた(浸した)場合にも、正常な検査結果が得られなくなりますから、必ず指定された方法で検査をする必要があるのです。
妊娠検査薬は、正しく使って初めて信頼できる結果になる
「でも、妊娠検査薬の信頼度は99%ってパッケージに書かれているのに、そんなことが起きるの?」
「妊娠検査薬で陽性だったことを伝えたら、病院での尿検査をスキップされるほど信頼されてるんじゃないの?」
といった声も聞こえてきますが、あくまで、それは正しい方法で検査をした場合の話です。
そもそも、妊娠検査薬によって検査基準に疲れている”hCGホルモン”は、通常は「受精卵が着床した時のみ、その受精卵の表面上にある絨毛という組織から分泌されるホルモン」(※)です。
そのため、着床後でなければ、体内にこのホルモンは存在しませんし、着床直後に検出されるほどの濃度が分泌されるわけでもありません。
特に早期妊娠検査薬では、その検出可能な濃度の最低値(閾値:検査薬の20、25、50という数値)が低いことから、すぐに反応が得られるのでは?と考えがちですが、それでもこの20〜25IU/Lに至るには、着床後2日から3日の時間を要します。
加えて、海外製の早期妊娠検査薬を使用した場合は、その形状が日本製のものと異なり、検査シートがむき出しになっているものがほとんどです。
必要以上に尿をかける・浸すことで、検査結果の狂いが出やすくなってしまうため、検査結果の判別が難しい状態になることも珍しいことではありません。
※子宮外妊娠や胞状奇胎といった異常妊娠の他にも、絨毛がんや閉経後の女性、治療のためhCG製剤を服用している場合にも、尿の中にhCGホルモンが分泌されることがあります。
早期妊娠検査薬のうっすらとした線、こんな場合は陽性の可能性アリ
それでも、うっすらとしか見えない判定線でも、陽性であると考えられる場合があります。
それが、”判定時間内に検査薬の説明にある通りの色の線がうっすら現れた時”です。
閾値まで至らなくても、尿中にhCGホルモンが含まれているため、検査薬に含まれている薬品が反応した、と考えていいでしょう。
それがフライング検査だったならば検査薬の定めている検査日に、生理不順などで排卵日の特定が出来ないような場合は2,3日後に改めて検査をして、反応を見てみましょう。
そこではっきりとした線が現れたならば妊娠と言えますし、着床した受精卵(着床後は胎嚢と呼ばれます)が順調に育っていると言えます。
しかし線の薄さが同じか更に薄まるようであれば、化学流産の兆候があるか、それとも子宮外妊娠などの可能性が出てきます。
特に化学流産は、着床はしたものの、受精卵の成長が止まってしまったことを意味します。
ただ、これは、本人が気付いていないだけで、実際は3割から4割の確率で起きることだというのが分かっています。
こうした超初期の化学流産は、検査をしたから気付いただけで、検査をしなければ普通の月経と変わりません。
この受精卵の状態で成長が止まることは、女性やパートナーの男性に問題があったからではありません。女性にとって辛いことですが、これは自然淘汰であり、何も特別なことではありません。
一番怖いのは、子宮外妊娠が疑われる時です。
判定線がいつまで経っても薄いままで、かつ予定日以降も生理もこないような場合は、即産婦人科を受診する必要があります。
早期妊娠検査薬のうっすら線、こんな場合は”陰性”
下記のようなうっすらとした線が出た場合は、その検査は陰性だとされます。
・判定時間を超えてから、説明書にある通りのうっすらとした線が出た
この場合も、閾値に満たない程度のhCGホルモンが検出された可能性がある、つまり陽性反応の可能性があります。
ただ、妊娠検査薬の考え方として”判定時間内に規定の反応がなかった場合は陰性とする”ことが前提になりますから、日を置いて改めて検査するほうがいいでしょう。
・検査中に薄い線が見えたが、判定時間前に消えてしまった
妊娠検査薬は尿による判定を行っていますが、御存知の通り、尿には様々な成分が含まれています。
この時は、尿が検査薬内を浸透していく上で、検査薬が尿に含まれるその他の成分に誤反応を起こした場合に起きる現象です。
検査中ではなく、”判定時間後に出た結果”が正しいものだと考えましょう。
・判定時間後になってから、違う色の線が出た/説明書にあるのとは違う色の線が出た
例えば、判定時間が1分の検査薬を使い、尿をかけて1分後には何も線が出なかったのに、1時間後に見てみた時には、説明書にある色とは違う色の線が出ていた、という場合があります。
これは”蒸発線”と呼ばれるものであると考えられます。
尿が検査薬に染みこんだ後、水分だけが蒸発して、残った成分が線状に見えているだけ、という可能性が高いのです。
ただ、こうした場合も、単にhGCホルモンが閾値未満だから陰性なだけ、ということもありますから、やはり日をおいて再度検査をしてみましょう。
海外製の早期妊娠検査薬、どんな点が優れているの?
通常の妊娠検査薬(ここでは、生理予定日1週間後から使える閾値が50IU/Lのもの)は、薬局だけでなくドラッグストアなどでも購入できますが、早期妊娠検査薬は違います。
現在、日本国内で早期妊娠検査薬を入手したい、と思った場合には、調剤薬局(処方箋薬を出してくれる薬剤師のいる薬局)での購入か、海外製品を個人輸入、または代行業者から購入する、という方法しかありません。
しかも、調剤薬局で購入するものに関しては、2回分で1500円ほどと、コストパフォーマンスがいいとはとても言えないばかりか、購入に際して薬剤師による問診が必要になります。
それもあって、現在、早期妊娠検査薬を使う人の大半が、海外製のものを代行業者を通じて購入する、という手段を取っている状況です。
海外製の早期妊娠検査薬は、とにかく安価だという点が挙げられます。
一番主流で、信頼度が高い製品と言われているアメリカ製の”ラッキーテスト”と呼ばれるものでも、10回分で1000円程度で購入でき、何度も検査をしたい”という妊活中の女性にとっては、とても嬉しい価格と言えます。
ただ、先にも少々触れましたが、海外製品の特色として、検査薬が”ストリップタイプ”と呼ばれる、プラスティック製のカバーなどのない、リトマス試験紙状のものが大半です。
そのため、日本製のものと比べて、扱い方が少し難しいものがある、ということは承知しておくべきでしょう。
早期妊娠検査薬で陽性が出たら、いつ病院を受診すべき?
早期妊娠検査薬の結果で陽性反応が出た場合、いつ産婦人科に受診すべきなのでしょうか?
本来であれば、「妊娠が分かり次第すぐ受診すべき」なのですが、妊娠の超初期、5週未満ですと、超音波検査での胎嚢や心音の確認が出来ないため、二度手間になるばかりか、この検査にかかる費用も倍近くなってしまいます。
しかも、病院で使用する検査薬の閾値も、一般的な検査薬と同じ50IU/Lのものを使っている場合も多く、早期妊娠検査薬での自己診断のみでは、医学的に妊娠と判断できない、とされることもあります。
以上から、出血がある・腹痛がするなどの異常がないのであれば、妊娠5週目以降に受診するといいでしょう。
特に妊娠6週目以降であれば、正常に胎児が成長していれば心音が聞こえ出す頃のため、晴れて妊娠が確定になります。
妊娠検査薬は確かに女性にとって強い味方です。
しかし、妊娠を望む女性は、こうした検査薬を使う以前から、自分の体のリズムについて、真剣に管理する必要があります。
そうすれば「あれ、そういえば生理が来ていない」という状況や、「生理開始日が分からないから、とりあえず早期妊娠検査薬に頼ろう」ということを防げます。
自分の生理周期の把握、そして正確な排卵日と生理開始日を知るために、まず基礎体温をしっかり付ける習慣を付けましょう。