育休から復帰する時の挨拶 どんな点に気をつけるべきか
育休から仕事に復帰することが決まった時、喜びよりも無事に復帰できるか不安な気持ちのほうが勝る人が多いでしょう。
その不安を払拭し、働きやすくするためには、復帰の挨拶というものはとても重要です。
どんな点に気をつけるべきか、考えていきましょう。
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育休からの復帰で鍵を握るのは”挨拶”
育児休暇が終わり、復帰を目前に控えた人の心の中は、また働ける!という喜びよりも、様々な不安のほうが大きいのではないでしょうか。
子供が保育園・幼稚園で楽しく過ごせているか、怪我や病気をしないか、寂しがっていないか、という子供のことに対する不安もありますが、自分のことを職場の人々は快く受け入れてくれるのか、上手く働けることができるのか、といった不安も復帰にはつきものですね。
そんな不安を煽るつもりはありませんが、育休後の復帰で失敗してしまい、早々に退職を考える人というものは、非常に多いのが現状です。
中でも「職場の人がよそよそしい」、「同僚からの当たりが強くなった」等、会社に居づらさを感じるといった理由が目立ちます。
ちょっとした会話の端々に、刺々しい物を感じたり、そっけない態度をされたり、自分を除いた同僚たちで、自分がいなかった時の話で盛り上がる…といった疎外感を産む周囲の行動は、真綿で首を絞めるように、ジワジワと気力を奪っていきます。
こうした周囲の冷たい対応を、出来るだけ受けないようにするには、実は、自分から”あるアクション”を取る必要があります。
それが”挨拶”です。
「挨拶なんて定型文でいいよね」――とは考えないでください。
育休からの復帰には、特別な挨拶が必要な理由を見ていきましょう。
育休は確かに権利 しかしそれを支える人の気持ちは…
産休、育休、時短勤務といったものは、労働者の権利として、法律で定められているものです。
子供を産み、育てることの重要さは、その家庭内のみならず、社会や国にとっても大きいものだからです。
そして、働くということも、社会人・大人として重要なこと。
子育てと労働、2つを両立させるために、このような法律が制定され、その権利が保証されているのです。
が、こうした出産や育児に関わる休暇を定める一方、それを支える周囲の心情は、とても複雑なことに気付いているでしょうか?
育児休暇を取った社員の穴埋めがどのように行われているかというと、「新規に正社員を雇う」「派遣社員など期間限定の雇用」「社内の人間による穴埋め」のいずれかになります。
しかし、育休は”復帰することが前提”となっていること、”期間は1年程度”であること、”出来る限り以前と同じ職に復帰させる”ことが求められることを踏まえると、3つ目の社内の人間による穴埋めを選択する会社が多くなるのです。
ただ、この穴埋めを割り振られた社員に対し、給与が上がるなどの恩恵があることは少なく、負担だけが増えている状況が続くのです。
しかも、このフォロー体制は、復帰後も(急な欠勤・早退や時短勤務などが理由で)続くことになります。
こうした状況を、全ての人が手放しで受け入れてくれるのは、無理なことだとわかりますね。
育休を取り巻く社会問題 それを避けるためにも挨拶は重要
法律を守らねばならず、また簡単に穴埋めの社員を雇うことができない会社
負担だけが増え、その状態が数年に渡り続くことになる社員
育児と仕事の両立させなければならず、また周囲の同僚の苛立ちに晒される親
現在、社会問題として人々の関心を寄せているマタハラは、それぞれの心情や立場が対立してしまうことが原因で起きています。
特に、フォローを割り振られた社員の心情によるものが強いのです。
それでも、
「周囲の同僚に迷惑をかけるから、出産後は育休を取らずに仕事を辞めるべき」
「育休を取った社員は周囲に対してへりくだる必要がある」
「少々の嫌がらせは甘んじて受けるべき」
――とは、絶対に言いません。
それこそ、働きたいと思う人の権利を奪うことですし、マタハラは無くしていかなければならないものです。
ただ、自分がかけた負担を知っておくこと、そして今後も負担をかけてしまうことは、非常に大切なことです。
そして、それに対する感謝を、言葉として相手に伝える必要があるのです。
感謝の言葉とは不思議なもので、それまで苛立っていた相手の心をなだめる効果が確かにあります。
同時に言葉の選び方・使い方一つで、文脈は同じであっても、受ける印象も変わります。
勿論、心のこもっていない言葉では、相手もそれを察知して、更に苛立ちを募らせてしまうことにもなりかねません。
ですから、冒頭で触れた通り”特別な挨拶”が必要になってくるのです。
育休からの復帰の挨拶には、3つの方法がある
育休から仕事に復帰する際の挨拶の仕方には、3つの方法があります。
- メールでの前持った挨拶
- 復帰前に職場を訪れて挨拶
- 復帰当日の挨拶
職種や会社の風潮・雰囲気によって、どれをすべきか、すべきでないかが決まります。
その下準備・予備知識として、現在の社内の様子を知っておくことはとても大切なポイントです。
これは、出来れば復帰前から、時折社内の同僚・友人などと連絡を取るなどし、社内の動向などを聞いておくといいでしょう。
情報収集というと、少し聞こえは悪いかもしれませんが、例えば「○○社との契約が〜」というような仕事の話や、「××さんが今度〜」といった世間話などは、いわゆる”浦島太郎状態”になるのを防ぐためにも役立ちます。
もしそうした人がいないならば、上司、あるいは人事の社員の指示を仰ぐのも、一つの手と言えます。
そうした連絡の中で復帰の際の挨拶は、どの程度まですべきかを判断しましょう。
加えて、自分の前に育休を取ったことがある社員がいる場合は、その例に習う方が無難です。
そうでない、自分が職場や部署にとって初めて育休を取った社員であるならば、以降の育休を取る人の例になることがありますから、あまり過度なものにしすぎず、職場の雰囲気に見合った方法を取りましょう。
メールやSNSで復帰の挨拶をする時の注意点とは
まず、メールでの前持った挨拶について見てみましょう。
メールでの挨拶を行うタイミングですが、復帰日が確定した時に行うのがいいでしょう。
メールを送るのは、小さな会社であるならば全体にでも構いませんが、社員が多い会社であるならば、直接業務に関わる同僚、部署といった単位にしましょう。
社内用SNSがあるようなら、そこを利用するのもいい手段です。
文面についてですが、ここでは礼儀やマナーを踏まえたものにしましょう。
もしアットホームな職場であり、同僚との仲がよかったとしても、このメールは”お礼状”と同じ意味合いを持つものです。
砕けた内容・子供に関する細かな近況についての報告は、それこそ個々の、会社用ではなく私用のメールで行いましょう。
以下は、要所をまとめた一例です。
—
○○課の皆様
ご無沙汰しております。(自分の名前)です。
出産、育児のため、休暇を頂いておりましたが、○月○日を持って復職することとなりました。
休職中、皆様には色々とご迷惑やご心配をお掛けしたことと思います。ここに、改めてお詫び申し上げます。
皆様のお心遣いもあり、子供も健やかに成長し、この度無事に保育園への入所も決まりました。
育児に専念する期間を頂けたこと、本当に感謝の言葉もありません。
復職後は、皆様のお気持ちに答えられるよう、全力で業務に当たりたいと思っております。
どうかご指導、ご鞭撻の程、宜しくお願い致します。
復帰前の職場への挨拶 注意したい点とは?
続いて、復帰前に職場を訪問した時の挨拶はどのようにすべきでしょうか。
会社によっては、復帰前に一度職場で今後の就業方法、業務内容などの確認をするために来てほしいと言われたり、必要書類の受け渡しなどで足を運ぶ機会があるかもしれません。
こうした場合は、特に改まった挨拶の言葉を用意しておく必要は、あまりないでしょう。
ただその代わり、いくつか注意したほうがいいことがあります。
まず、訪問する時間の選び方です。
一般的に、午前中、特にその日の業務が始まった間際の時間帯は、社内や客先との連絡などで、何かと忙しい時間帯です。
また昼食休憩が開けてすぐも、何かと忙しい時間帯になりますから、あまりお勧めできません。
会社側から時間を指定されない限りは、午後2時や3時といった、少し業務が落ち着いた時間帯にするのがベストです。
続いてよく話題になる手土産についてですが、会社で禁止されていない限り、用意すべきです。
手土産を選ぶポイントとしては、”個装”、”人数よりも多め”、”日持ちのするもの”です。
この手土産は、復帰前の訪問時に用意できなかったのであれば、復帰当日には用意しておくといいでしょう。
そして、子供を連れて行くべきかどうかも、大切なポイントです。
この判断は、何よりもまず会社の雰囲気を重視しましょう。
忙しく、迷惑になりそうな職場や、子供を連れて行くことで迷惑をかけることが予想されるなら、連れて行くべきではありません。
復帰当日の挨拶 絶対に含むべき2つのこととは?
そして、一番重要なのが、復帰当日の挨拶です。
この時も、やはり長々と語る必要はありません。
- 休暇中にかけた迷惑に対する謝罪と、休暇を取れたことへの感謝の言葉
- 今後、かける可能性がある迷惑に対する先んじての謝罪
この2点は必ず、挨拶の言葉の中に組み込むといいでしょう。
また、今後の仕事に対する抱負もあると、より丁寧な挨拶として受け止められるでしょう。
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本日より復職することになりました(自分の名前)です。
お休みを頂いていたの間、みなさんには多くのご迷惑とご心配をおかけしたことと思います。申し訳ありませんでした。
子供も健康に、順調に育ち、保育園での生活を楽しむほどになりました。これも、ひとえにみなさんのお力添えがあってこそだと思っています。
本当にありがとうございました。
復職に当たり、ブランクや勤務時間の関係で、ご迷惑をおかけすることもあるかと思います。
それでも、御恩に報いることができるよう、全力で仕事に取り組みたいと思っています。
どうぞ、今後とも宜しくお願い致します。
—
働きながら子育てをする人が増えているとは言え、悲しいかな、未だ日本はワーキングマザー・ファーザーに優しい環境ではありません。
ただ、自分の発する挨拶の言葉ひとつ、行動ひとつで、社内の風潮を変えていくことは可能です。
一つ一つの会社が変わっていけば、必ずその流れが大きくなり、よりよい社会をつくるきっかけになります。
育児、そして働くことを両立させやすい環境を作るためにも、是非、こうした挨拶の言葉を大切にしましょう。