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葉酸不足が引き起こすのは胎児の先天性障害だけじゃない!

妊娠中の特に初期、母親の葉酸不足が胎児にとって先天性障害を引き起こす可能性があることをご存知の方もいるでしょう。

しかし、実は葉酸サプリメントの摂取が必要なのは、妊娠初期の女性に限った話ではありません。

葉酸不足が引き起こす病気などを踏まえ、その必要性を見てみましょう。

葉酸不足が、何故赤ちゃんの先天性障害を引き起こすのか

妊娠した女性にとって、一番の関心事と言えば、お腹の中の赤ちゃんが、健康に生まれてくることの他にないといっても過言ではないでしょう。

ですが、妊娠中の母親の栄養状態によっては、赤ちゃんに先天性の様々な病気が発症するリスクがあることを、どれだけの人が把握しているかは疑問です。

中でも、特に妊娠初期に摂取することを推奨されている栄養素があります。それが葉酸です。

妊娠初期に葉酸が不足すると、赤ちゃんに”神経管閉鎖障害”や”ダウン症”といった先天性の疾患が発症するリスクが高まることが分かっています。
 

何故、妊娠中に母親の葉酸が不足すると、赤ちゃんに先天性の障害が発生してしまうのか、まずそのメカニズムについて簡単に触れてみましょう。
 

女性の持つ卵子、そして男性の持つ精子は、それぞれ23本の染色体を持っています。この2つが卵管で出会い、受精することで、受精卵は晴れて46本の染色体を持つ1つの細胞、受精卵となり得るのです。

最終的に、赤ちゃんとして生まれてくるまでに、1つだった細胞の数は実に60億にまで増えることになります。

勿論、細胞が増えるためには、エネルギーや、その細胞の元になる栄養素が絶対に必要です。

この受精卵は、最初のうちは卵子のうちから中に持っていた”卵黄嚢”という栄養の詰まった袋をエネルギー源としています。何故なら、この時期はまだ、受精卵はお母さんとなる女性の子宮に”着床”していないからです。

その後、受精卵は受精から1週間、自分の中に蓄えられた栄養素を元にして細胞分裂を繰り返しつつ、子宮にたどり着き、着床して初めて”妊娠”となるのです。
 

着床後、受精卵は名前を変えて”胎芽”と呼ばれる状態になります。

それまではまだ、ただの細胞の集まりだったものが、それからほんの数ヶ月で、人間のかたちをとるまでに成長し、この世に生まれてくるのです。

しかも、心臓、脳、肺といった内臓器官、骨や神経細胞などの生命の根源を支える重要な器官は、この胎芽の時期、つまり”妊娠初期である3ヶ月まで”に形成されるのです。

そのために必要な栄養素を、一体どこから得るようになるのか。勿論、受精卵の時期の栄養源であった卵黄嚢の栄養素は、もうありません。――答えは、お母さんの体からなのです。

この時期が、その後の成長においてとても重要な時期になることを、是非覚えておいてください。
 

本来であれば、人間は、その細胞一つ一つにある23組、46本の染色体通りに体を形作ります。

染色体とは、いわば人間の体の設計図。性別から、髪の色、指紋の一つ一つに至るまで、人間は全てこの染色体によって形作られています。

細胞分裂で1つの細胞が2つに別れる時、この染色体はいわば”コピー”を繰り返します。元は一つの細胞からはじまったのですから、全ての細胞上にある染色体に違いが生じることはありません。

しかし、爆発的に細胞分裂を繰り返す時、栄養素が足りないと、このコピー機能が上手に働かなくなる可能性があるのです。

コピーミスの設計図を渡された細胞は、正常に機能することが出来ません。これがいわゆる”染色体異常”です。

妊娠初期に染色体異常が起きると、多くの場合、育ちきることが出来ずに、流産となります。ですが、染色体異常の起きた部位によっては、そのまま成長を続け、出生となることがあります。

これが先天性の障害とされるものです。

障害によっては、出生後に外科手術などの治療を受けることで、将来の生活に支障が出なくなることもありますが、現代の医療技術では、コピーミスによって壊れている染色体そのものを治療することは出来ないのです。
 

勿論、全ての先天性障害が葉酸不足によって起きるわけではありません。

元々、両親から渡された遺伝子の中にそうした因子があった場合や、妊娠に気付かずに影響が出る薬(禁忌薬)を服用してしまった時、母親の病気(糖尿、高熱など)、アルコールや喫煙が原因となることもあります。

しかし、着床後から爆発的な成長を始める胎芽は、常に栄養を必要としています。

中でも葉酸が必要とされるのは、葉酸には”細胞分裂を助ける作用”があるからです。つまり、染色体のコピーミスが起きるのを防いでくれる効果、と言い換えても過言ではありません。

特に重要な器官が作られる妊娠初期、少しでもこうした障害の出る可能性を下げるために、葉酸サプリメントを摂取すべきである、と言われる理由がここにあるのです。
 

現代人に葉酸が不足している本当の原因は、○○の変化にあり

葉酸不足により、特に神経管閉鎖障害が起きるリスクが高まることは、特に諸外国(アメリカやオーストラリアなど)では1990年代には広く認知されており、日本で厚生労働省に当たる機関が「妊娠初期には葉酸を摂取すべき」という勧告を出していました。

対して、日本で厚労省による同じ勧告を出したのは、2002年になってから。実に、10年の開きがあります。

これは、単に日本の政府機関の動きが遅いから、という理由ではありません。

一番大きな原因は、”現代人の食生活の変化”にあるのです。
 

御存知の通り、日本は海に囲まれた島国です。国土もそう大きくありません。そのため、生活における肉類の占める割合は、とても低く、食事といえば、野菜や魚といったものが中心だったのです。

実は、1980年の時点で、世界各国における神経管閉鎖障害の一つである二分脊椎症の発症数を比べてみると、日本は諸外国に比べて1万人に2人程度(一番多いニュージーランドでは12人)と、低い数字でした。

ですが、この年代以降、欧米的な食生活が広まりだしたことをきっかけに、この数値に変化が発生していきます。

洋食やファストフードが手軽に食べられる機会が増え、日本食を摂らない生活が普及したことにより、1999年には1万人に4人程にまで発生確率が増えてきたのです。

対して、葉酸の摂取の勧告を出した国々は、この数字が一気に減少し、その効果が確実である結果が出たのです。

※アメリカでは1980年には8人程度だった二分脊椎症の発症数が1人程にまで低下しています
 

加えて、調理法の変化も、この勢いを加速させたと言っても過言ではないでしょう。

葉酸はその名から想像できる通り、ほうれん草を始めとした”緑の濃い野菜”に多く含まれるビタミンBの一つです。

ですが、非常に水に溶けやすく(水溶性)、また熱に弱い性質を持っているため、調理法一つでその栄養価は激減してしまいます。

同じ量のほうれん草を食べた!と思っていても、それがさっと湯がくだけの”おひたし”なのか、熱を加え続ける”ソテー”なのかで、実際は摂取した葉酸の量は全く違ってきてしまいます。
 

また、現代日本人の葉酸不足の原因として、外せないのが”ダイエット”の存在です。

葉酸だけでなく、様々な栄養素は、お互いの吸収率を高める相乗効果を持っているものがあります。

しかし、ダイエットに勤しむ女性は、カロリーばかりを気にして、こうした効果を無視し、偏った食生活を続ける傾向が否定できません。

サラダだけを食べ続ければ、葉酸も摂れるから大丈夫だわ、というのは大きな間違いであり、他の栄養素の不足による体調不良が発生する可能性が高くなります。
 

こうした経緯と結果を受け、日本でも遅ればせながら日本でも同じように、”妊娠初期(1ヶ月未満)から妊娠3ヶ月の間の妊娠中の女性は葉酸サプリメントを1日400μgを摂取すべきである”という勧告を出しました。
 

葉酸不足はどの時期の妊婦・胎児にとっても危険なワケ

妊娠初期、葉酸が不足すると胎児に神経管閉鎖障害が起きるリスクが高まることについては、先にも触れました。

では、妊娠初期を超えてしまえば――中期、後期に入れば、葉酸は妊婦や胎児に必要ないのでしょうか?
 

体験談の中には、「妊娠初期を超えたら、葉酸サプリメントは摂取する必要はないと先生に言われた」、「病院でも質問したが、妊娠初期だけ勧めてきたけれど、中期以降は何も言われなかった」という話もよく目にします。

そして気になる噂として「妊娠中期以降も葉酸サプリメントを摂取していると、子供に喘息などの病気が発症するリスクが高まる」というものもあります。
 

これ等は、全て間違いというわけではありません。

普段の食生活において、バランスのいい食生活を送っている人であれば、つわりの時期も超え、安定して食事から葉酸を摂取できるなら、確かに葉酸サプリメントは必要ないでしょう。

また、神経管閉鎖障害の発現時期を超えていれば、”この病気が現れる確率を下げるために必要だった”葉酸サプリメントの摂取も、もう必要なくなります。

ですが、妊娠初期、神経管や重要な器官が作られた後も、胎児はお母さんの体の中でぐんぐんと成長を続けますね。

細胞分裂や体の形成は、まだまだこれからが本番。その正常な成長のために、葉酸は妊娠中期以降も摂る必要があるということなのです。
 

そしてもう一点重要なのは、妊娠中期以降に頻発する、妊婦の貧血を防ぐ効果を葉酸が持っている、という点です。

妊娠中の女性の体内の血液は、通常時に比べて約1.5倍にも増加します。

これは、胎児に栄養と酸素を届けるためであるのに加え、胎盤の維持をするためです。

血液が足りなくなる、つまり貧血になると、赤ちゃんに送られる酸素と栄養が少なって赤ちゃんの発達に影響するばかりか、お母さん自身が動悸、息切れ、めまいなどの症状に悩むことになります。

加えて出産時の出産の際、血圧が下がりやすくなったり、出血が止まらないといった状態に陥る可能性もあります。こうなると、お母さんと赤ちゃん、双方に命の危険が及んでしまいます。
 

こうしたことを避けるためにも、妊娠中は前期に関わらず、一定の量――厚生労働省の定める数値では”400μg”の摂取を心がける必要があるのです。
 

ちなみに、妊娠中期以降に葉酸サプリメントを摂取すると、生まれる子供に喘息のリスクが高まる、という話については、”1日の葉酸の摂取上限である1mg(1000μg)を超えた過剰摂取を続けた場合”に起きることです。

これは”葉酸過敏症”という病気であり、体が過剰な葉酸摂取に拒絶反応を起こす疾患です。

1日の摂取量を守っていれば、こうした別の病気(小児喘息や葉酸過敏症)が起きることはありません。
 

中高年必見!葉酸不足からくる”高ホモシステイン血症”とは

葉酸不足で健康に被害が出るのは、何も妊娠中の女性や胎児だけではありません。

葉酸は、どの年齢の人にとっても、その健康の維持のためにはとても大切な栄養素なのです。
 

葉酸不足から陥る可能性のある病気は多くありますが、その中で特に中高年以降の人が気をつけたいのが”動脈硬化症”です。

動脈硬化症とは、端的に言えば、本来柔らかくなければならない血管が固くなる病気です。

血管が固くなる、と聞いても、あまりピンと来ない人もいるでしょうが、これはとても恐ろしい病気の前兆になり得るのです。
 

普段目にするゴムのホースを思い浮かべてください。手入れがされているホースであれば、水漏れや詰まりもありませんし、きれいに巻いて片付けておくことが出来ますね。

しかし、片付けずに放置してしまうと、中にゴミが溜まったり、風化や傷によってボロボロ、使おうと思ったら固くなって伸ばせないし、途中で破けて使い物にならない!――ということが想像できるでしょう。
 
動脈硬化も、これも全く同じことです。

本来ならば、動脈は新鮮な血液を全身に届けるために、とても丈夫でしなやかさを持っています。しかし、”手入れ”を怠って固くなってしまうと、動脈の内側の膜がもろくなり、剥がれ落ちてしまいます。

剥がれ落ちたものは、血流によって流され、血管の幅が狭い場所で詰まり、正常な血流を阻害するようになります。

血流が阻害された先の器官は、十分な栄養と酸素を得ることが出来なくなるのですから、正常な働きが出来なくなります。

これが肺で起きると肺血栓、脳で起きれば脳梗塞、心臓で起きれば心筋梗塞――と、どれも生命に重大な危険を及ぼす病気に繋がるのです。

他にも、もろくなった血管が破れて起きる動脈破裂(クモ膜下出血もこれと同じです)、心臓に負担がかかることで起きる心不全…と、やはり、生命の危険に繋がるのです。
 

何故葉酸不足が動脈硬化に繋がるのかというと、それは肝臓のある働きに関わります。

肝臓は人の体内で様々な重要な役割を担っていますが、その働きの一つに”メチオニン代謝”というものがあります。

これは、たんぱく質を体内に取り込む際に発生する”ホモシステイン”というアミノ酸を、肝臓内でメチオニンに変換する働きを指すものですが、ホモシステインをメチオニンに作り変える際に、葉酸が必要になるのです。

ここで葉酸が不足すると、肝臓内のメチオニン代謝が滞り、血液内のホモシステイン濃度が高くなっていき、”高ホモシステイン血症”という状態になります。

ホモシステイン濃度が高くなると、次に起きるのが体内のコラーゲンの質の低下です。

コラーゲンと聞くと、どうしても美容成分としてのイメージが強くなりがちですが、実は血管の主要な成分こそ、このコラーゲンなのです。

質が低下したコラーゲンでは、十分な柔らかさを持った血管を維持できず、動脈硬化に繋がるのです。
 

ですから、アンチエイジングや美肌効果は元より、体そのものの健康を考える中高年以降の人も、やはり葉酸の摂取を考えなくてはならないのです。
 

葉酸の不足を補うのに、サプリメントが適しているのは何故?

葉酸不足を解消するために、何故サプリメントが推奨されているのでしょうか?

食事で自然に摂取できるのであれば、それが一番ではありますが、現実問題として、1日に食事で葉酸を摂取するのは難しいことです。

何より、一番赤ちゃんに先天性の病気のリスクが生じる妊娠初期は、妊娠そのものに気付いていなかったり、つわりで普通の食事をすることすら難しい時期が重なる時です。そんな時、果たして食事のみで必要な量の葉酸を摂取できるでしょうか?

ちなみに、18歳以上の人の1日の葉酸の推奨摂取量である240μgの葉酸を、ゆでたほうれん草で賄おうとした場合には、220gもの量を食べる必要が出てきます。これはお茶碗に2杯分の量です。

しかも、ほうれん草には有効な成分も沢山含まれていますが、尿管結石の原因にもなるシュウ酸も含まれていますから、決していい手段ではないことは、わかるかと思います。
 

こうしたことを踏まえると、やはり、現代人が効率的に葉酸を摂取するには、サプリメントの力を借りるのが有効であると言えるでしょう。

勿論、サプリメントは栄養補助食品でしかありませんから、サプリメントだけを摂取すれば食事は何を食べてもいい、というわけではありません。

”規則正しく、広くまんべんなく、様々な食品から多くの栄養素を摂取する”ことが基本であり、足りない所を補うもの、という意識は必要です。
 

ただ、葉酸を含んでいればどんなサプリメントでも良い、というわけにもいきません。

一般に売られている中にも、粗悪品と言っていいような添加物が大量に含まれているものがあったり、続けて飲み続けるには金銭的な問題で難しいほど高価なものもあったりと、今から葉酸サプリメントを探す人にとっては、逆に選択肢が多すぎて迷うような状況でもあります。

そんな時は、是非、経験者の話や、評判、そしてそのサプリメントの製造元が信頼にたるかどうかなどを確認するようにしましょう。
 

葉酸は、どの年代の人にも重要な栄養素です。そして中でも、これから妊娠を控えている世代の女性にとっては、特に重要視すべきものです。

そして、葉酸の欠乏は、月毎の生理にも影響し、酷い生理痛を起こす原因にもなっています。

もし、あなたがお母さんで、そんな娘さんがいるような立場であるならば、ご自身の健康維持と共に、将来の娘さん、そしてお孫さんのためにも、葉酸の摂り方について二人で考えてみるのもいいでしょう。

 - 妊娠と葉酸の効果