妊娠検診の尿検査。検査目的や結果の見方を知りたい!人へ
妊娠すると妊婦検診で必ず検査項目にある尿検査。
検査するのにも、提出するにもちょっと気を使うので苦手という人も多いはず。
妊婦検診に何故尿検査が必要なのか、その検査目的と結果の見方についてご説明いたします。
そもそも尿検査でわかる事とは?
妊娠検査薬を利用する時、検査薬に尿をかけますよね。何故尿を検査することによって妊娠したり、体の調子が判ることができるのでしょうか?
その答えは尿の性質にあります。
尿というのは体の排泄物であるという事はみなさんご存知だと思います。
健康な腎臓であれば、排出されたものは体に不要な栄養素のみなのです。しかし、腎臓の働きが弱っていれば、本来排出されるべきでないものが含まれていたり、また体内で処理できない量の栄養素があれば、それも排出されてしまうのです。
尿検査というのはそういったものから必要な情報を引き出しているわけです。
さて妊娠検査薬で妊娠のチェックに使われるのが「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」です。これは妊娠していない人の体には無いホルモンです。これが尿から排出されたという事は体内で作られているという事なので、「妊娠している」と判ります。
妊婦検診での検査目的は尿中に含まれている「たんぱく」「糖」です。
妊娠の尿検査で「たんぱく」が出ている場合は?
栄養素のたんぱく質というのは、肉類、魚類、大豆製品、豆腐に含まれている栄養素です。たんぱく質の働きは主に内臓や血液を作ってくれます。そのほかにも、細胞を修復したり、骨や筋肉を作ったり、ホルモンを作ったりと、体にはなくてはならない栄養素です。
さて腎臓ではこのたんぱく質はろ過されて体内に戻るはずなのです。だから尿には含まれていないのが普通なのです。
しかし、このたんぱく質が特に妊婦は尿に検出されることがあります。
主な原因として、まず腎臓の機能低下です。なにせ妊婦の体とおなかの赤ちゃんの二人分をろ過させる必要があるので、その機能が追い付かないとどうしても尿にたんぱく質が含まれることになります。
多少ならば問題はないのですが、これが明らかに長期間もしくは大量に検出されるとなると問題です。腎臓の機能の低下しているか、もしくは「妊娠高血圧症候群」の可能性があるからです。
妊娠高血圧症候群は場合によっては、母子ともに重大な問題を引き起こす可能性があるために、病院では必ず検査しているのです。
妊娠高血圧症候群とは?
その名前の通り妊娠したことにより高血圧になったしまった事をいいます。
高血圧は例えばメタボ体形の人や、ご年配の人がかかる病気と思われていますが、妊婦でも全体の約3〜7%が発症すると言われています。
例えば家族でもご両親や祖父、祖母のうち誰かが血圧を下げる薬を飲んでいるという人は多いと思います。高血圧自体はそれだけで命を落とす病気ではないのですが、他の疾患の原因になったり、併発すると重症化したりするので、血圧が高いことは健康にいいとは言えないのです。
妊婦の場合は、他の病気を併発する危険の他、出産時に力んだりすると一時的に血圧が上がるため、元々高血圧の人は体が耐えられないこともあります。
また胎児への影響も見過ごせません。胎児は、ママの血液から酸素や栄養を得ているわけなのですが、ママが高血圧だと血流が悪くなるため、十分に酸素や栄養を得ることができます。発育不全や、低酸素状態になり、早産、死産のリスクもあります。
妊娠の尿検査で「糖」が出ている場合は?
尿から糖が出ている病気はご存知だと思います。
そうです。「糖尿病」なのです。
といっても妊娠糖尿病は、通常の糖尿病よりも軽度と考えられています。発症率は全妊婦のうち12%ぐらいです。ほとんどの方は産後には元通りになりますが、今後糖尿病になるリスクは、他の人よりも高くなっているので、その後の生活も注意が必要です。
尿に糖が検出されるようになった原因として、妊娠すると血液中のブドウ糖が分解されにくくなったというのがあります。それは、赤ちゃんはブドウ糖をエネルギーとしているので、赤ちゃんがブドウ糖をたくさん摂取できるように、妊婦の体はあえてブドウ糖の分解を押さえているのですが、それでも、赤ちゃんも摂取しきれない量の糖分を摂取してしまうと、やはり残ったものは尿に含まれて、排出されてしまうのです。
妊娠糖尿病も悪化すると、やはり胎児に発達に問題が出たり、逆に大きく育ちすぎて難産になったり、出産後も胎児がリスクを負う可能性があるので、甘くみないようにしましょう。
妊娠の尿検査の見方とは?
健康診断を受けた時もご覧になった事があると思います。
尿検査の項目は「+(プラス)」と「-(マイナス)」で結果が表示されます。
「-(マイナス)」は尿から、該当するものが検出されなかったという事です。つまり問題なしです。
「+(プラス)」の場合は、尿から該当のものが検出されたという事になります。これは問題があるのです。「+(プラス)」については、一定の基準によって、「+(プラス)」、「++」「+++」と区別され、+の数が多い方が、たくさん含まれていると言えます。
「+」の場合は、尿中にほんの少し含まれていてもこの表示になりますので、多くの場合は経過観察などになる事が多いようです。
「++」以上になると、は再検査や別の検査を受ける必要がある場合があります。また検査結果は大概お医者さんがある程度説明してくれると思いますが、よく理解できない、もっとよく知りたいと思ったときは、質問した方がいいでしょう。また、病院によっては妊婦さんの医療関係の質問に対して特別に窓口を設置しているところもあるそうです。
自分の体の状態なので、きちんと理解しておくのが大切です。