子宮からの出血は危険?妊娠中に気をつけるべき疾患はコレ!
「もしかして妊娠したかも」という妊娠超初期から、妊娠が確定し、無事に出産を終えるまでの妊娠中、実は思った以上に多くの女性が、出血を経験しています。
大半は妊娠の継続に問題のない出血ですが、時に妊娠を脅かす子宮からの出血があることも否めません。
妊娠中に起こり得る子宮からの出血には、どんな疾患が考えられるのでしょうか?
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妊娠中の子宮からの出血 妊娠の継続ばかりか命に関わることも…
妊娠中、時期や量、そして出血箇所・原因に関わらず出血を経験したことがあると答えた人は、実は思った以上に存在します。
妊娠超初期の着床出血を初め、絨毛膜下血腫、子宮膣部びらん、内診出血といったものや、妊娠の直前に起きるおしるしまで、あらゆる場面で出血が起きる可能性があるからです。
むしろ妊娠中のほうが、普段よりも体がデリケートになっているため、ちょっとしたことでも(例えばちょっといつもより長く歩いた、夫婦生活をした等)出血が起きるため、『妊娠中に出血があった時には、慌てずにまず状態を確かめて』と言われるのです。
しかし問題は、その出血が果たして子宮(または卵巣・卵管など)からのものであるのか、そして何より妊娠の継続が可能か否かの判断が、自分では分からない、という点です。
ですから、妊娠中に出血が起きた時には、決して自分で勝手に「この出血はきっと○○だろう」と判断をしてはならない、という点です。
出血や、ピンク、赤、茶色のおりものが出た時には、まずは出血の状態を確認し、それを主治医・掛かっている産院に連絡して伝え、指示を仰ぐことが鉄則になっているのです。
妊娠中、特に子宮からの出血が多いのは妊娠初期
妊娠期間は、妊娠0週〜15週6日までの妊娠初期、16週〜27週6日までの妊娠中期、28週からの妊娠後期に分けられます。
そして圧倒的に、子宮内からの出血が多いのが、妊娠初期になります。
妊娠初期に起こり得る子宮からの出血、しかも妊娠の継続が不可能なものの最たるものが、”異常妊娠”です。
これは読んで字のごとく、妊娠自体に異常が生じていることを意味し、子宮外妊娠、そして胞状奇胎がこれに当たります。
子宮外妊娠は、子宮内(子宮内膜)以外の場所に着床してしまうケースです。
女性は勿論、子宮以外の場所で胎児を育むことが出来ませんし、受精卵自体は正常なため、どんどん成長してしまい、結果着床した部位が破裂し、母体の命に関わることすらあります。
胞状奇胎は、受精卵の、後に胎盤となる絨毛という組織が異常増殖した状態であり、放置すると絨毛がんに移行し、かつ胎児の元となる胎芽も正常に発育出来ないことがほとんどのため、妊娠の継続は不可能です。
そして、全妊娠のうちの1割で起きる自然流産も、やはり受精卵が正常に発育できていないため、出血を伴って起きうるものです。
何れの場合も、妊娠の継続は不可能となり、病院での処置が必要になります。
妊娠中期以降の子宮からの出血は、母子の命の危険もある!
では妊娠中期以降に起きる子宮内の出血で注意が必要なものは、どんなものになるのかを見てみましょう。
前置胎盤/低置胎盤
通常は子宮の上部に出来るはずの胎盤が、子宮口周辺にできる状態。
妊娠の継続自体には問題がないが、急な大量出血が起きる可能性が高い。
※ただし、子宮が大きくなるにつれ、胎盤の位置が上部にずれていき解消されることもある
子宮頸管無力症
本来出産前まで開かない筈の子宮口が、何らかの原因により開いてしまう状態。
胎児の細菌感染や破水・出血および流産・早産に繋がる可能性が高く、子宮口を縛る手術が行われるケースもある。
常位胎盤早期剥離
出産時に剥がれるべき胎盤が、先に子宮壁から剥がれ、胎児への酸素・栄養の供給が出来なくなる他、母体側も血液が固まりにくくなる播種性血管内血液凝固(DIC)を起こす可能性が高くなる。
母子ともに危険な状態であり、緊急帝王切開が行われることもある
これらの疾患は、どれも流産・早産のリスクが高まるだけでなく、母子の命に関わることに繋がる可能性があります。
また、出血以外の自覚症状がないこともあるため「よくある出血」と自己判断してはならないのです。
子宮からの出血、切迫流産・早産ならまだ妊娠の継続は可能?
子宮からの出血が認められた場合、中でも多くの妊婦さんが恐れるのが、流産や早産でしょう。
流産や早産は、どちらも胎児が予定よりも早く出てきてしまうことですが、妊娠22週より前ならば流産、以降であれば早産と区切られています。
これは、早産の場合は、NICU(新生児集中治療室)での治療により、生存の可能性があるのに対し、流産の場合はその可能性がないとされるためです。
そして時々勘違いをする人もいるのですが、”切迫流産”や”切迫早産”は、流産・早産に”なりかけている”状態を示す言葉です。
つまり、検診などで切迫流産・早産だと診断された時には、医師の指示通り安静にすることで、妊娠の継続は可能なのです。
ただ、この”安静”にも度合いがあり、日常的な家事などはせず、必要最低限(それこそトイレ利用時)以外はベッドの上で横になっていなければならない、というケースもあります。
もし、自宅での安静が不可能だったり、出血量が多い、陣痛が起きている等の場合には、入院での経過観察が必要になることもあります。
妊娠中、もし出血が確認できたら、決して自分で判断しないこと
もし、妊娠中、少量でも出血があった場合には、落ち着いて以下のことを確認し、かかりつけの産院に電話で指示を仰ぎましょう。
○出血はいつから確認できたか
○出血の量はどの程度か(トイレの際、ペーパーに少量付く程度なのか、生理中の量か、塊状のものはまじっていないか)
○出血の色はどんなものか(鮮血か、茶色いか、おりものに混じる程度か)
○腹部に痛みはあるか(生理痛に似たものか、痛みはずっとなのか、一定間隔で痛む時・痛まない時があるか)
○腹部の張りはあるか
ただ、既に大量出血(生理中の出血よりも多い場合)が起きている時には、救急車の要請も辞さず、その時に妊娠何ヶ月であるのかも合わせて伝えるようにしましょう。
そして、繰り返しになりますが、決して自分で出血の理由を判断してはいけません。
一時の迷いや誤認が、妊婦と胎児、2つの命を危険に晒すことになる可能性があるからです。
そして、不安に思うこと、聞いておきたいことがあれば、必ずまず主治医と十分話し合い、家族間でもその情報は共有しましょう。