帝王切開は2人目以降も手術?傷が痛い?間隔は?…その答え!
帝王切開で1人目を出産後、気になってくるのは2人目やそれ以降の子供を妊娠した時のことです。
実際に帝王切開の後、再度妊娠した後に傷が痛いと感じる人もいますし、「子宮破裂の危険性がある」という噂があったり、以降の出産も必ず帝王切開になる、いやいや”VBAC”がある――と、様々な情報が飛び交っています。
もし、あなたが帝王切開を控えている、もしくは帝王切開後、2人目(または以降の子)の赤ちゃんを考えているのであれば、何に気をつけるべきかを見ていきましょう。
このページの目次
帝王切開経験者は2人目以降も手術確定?傷が痛いことってある?
現在の日本の医療では、少しでもリスクがある出産には、積極的に帝王切開による出産を選ぶケースが多くなっています。
この”選ぶ”とは、医師がリスク、メリット・デメリットを十分に考慮した上でする判断であり、基本的に妊婦やその家族の都合で選べるようなものではありません。
例えば逆子や胎児の首や体にへその緒が絡むといった赤ちゃんのトラブル、そしてお母さんの状態で、陣痛が始まった後にやむを得ず”緊急帝王切開”になるケースも、決して少なくありません。
また時々勘違いする人がいるのですが、”予定(計画)帝王切開”と呼ばれるものも、通常分娩が難しいことが最初からわかっている場合に選ばれるだけで、本人の希望で帝王切開になることは通常ありません。(出産日=手術日は、医師から提示されたうちから選ぶことは出来る病院もあります)
とはいえ、一度帝王切開で出産後には、2人目またはそれ以降の子を妊娠・出産する時には、通常分娩よりも注意すべきことが多くなります。
特に注意すべきは出産間隔であり、傷が痛い、痒いと感じることもあれば、実際に早産・切迫早産、更には子宮破裂などの可能性も高まります。
帝王切開は2人目以降も何故手術?傷が痛いと子宮に問題がある?
現在の国内の医療では、一度帝王切開で子供を出産した後は、基本的に2人目以降も帝王切開が選ばれることになります。
これは、一度帝王切開をした後では、普通分娩でかかる圧力に子宮が耐えられずに”子宮破裂”を起こすケースがあるからです。
頻度は決して高いものではありませんが、帝王切開は実際に子宮に対してメスを入れる手術ですから、そうして出来た傷の部分の子宮壁が薄くなってしまうことがあります。
その部分が陣痛の時の子宮の収縮の圧力に耐えきれず、裂けてしまうのがこの子宮破裂であり、大量出血や母子の命に危険が及びます。
ですから、帝王切開を一度経験後は、2人目以降にも帝王切開が選ばれるのです。
また、帝王切開は、手術した周囲が他の臓器との癒着を起こす可能性があります。
近年は、癒着を防止するシートが導入されていることがほとんどですから、現在では深刻な癒着は起きないとされていますが、癒着がある時にはそれだけ母子の体の負担になります。
ですから、帝王切開後、次の子を…と望んでいる時には、妊娠時期に関して十分に医師と相談し、その指示に従う必要があるのです。
帝王切開の傷が痛い間は2人目を作るべきではない?
帝王切開を後、いつ2人目を妊娠していいのかには、個人差があります。
重要なのは、”子宮の傷が癒えたか否か”です。
術後の回復には個人差がありますが、少なくとも1〜2年は時期を開けるようにするのが一般的です。
計画的に妊娠を考えているならば、やはり定期的に診察を受け、問題がないかを確認してもらうのがいいでしょう。
ただ医師から妊娠しても大丈夫と言われた後にも関わらず、実際妊娠後にお腹が大きくなってくるにつれて、傷が痛い、痒いと感じる場合があります。
痒みやチリチリとした痛みを感じる時は、子宮ではなく皮膚側の傷跡が感じている痛みや痒さの可能性があります。
傷口がケロイド状になっている人は特に、皮膚が伸びていく時の痒み(痒みが強くなるとチリチリとした痛みになる)を感じますから、妊娠線予防用のクリームやオイルを使う、必要以上に太らないようにするなど、傷口表面のケアを行うことで、軽減します。
元々、傷跡が残りやすい体質の人は、その旨を伝えることで、より傷口が残りにくいクリームやテープを処方してもらえることもありますから、これも医師に相談しましょう。
帝王切開経験者も自然分娩可能?”VBAC”のリスクとは
以前は、一度帝王切開をした後は、お母さん・赤ちゃんの状態に関わらず、以降の妊娠時にも必ず帝王切開をしなければならない、と言われてきました。
しかし、近年、帝王切開を経験した女性でも、次以降の妊娠を自然分娩で出産できるとする”VBAC”(ブイバック)が話題になっています。
「出来るなら自分もVBACをしたい」と思うでしょうが、実際にこの方式を取り入れている病院はそう多くはありません。
何故なら、VBACには子宮破裂や大量出血という大きなリスクも存在し、それが起こる確率は1/100とも言われるほど、低いものではないからです。
分娩中に急遽帝王切開に切り替えられるだけの設備がある、生まれた子供を向かい入れられるNICUがある、その他、専門医から様々な施設や準備が整い、かつ妊婦と胎児側も厳しい基準をクリアして、初めてVBACは可能になります。
更にはVBACを予定しつつも、経過によってはやはり不可能であると診断されたり、分娩中にトラブルがあって、自分や子供の命に関わることが起きる可能性についても、熟考すべきです。
産み方・生まれ方に優劣はない 帝王切開はリスク回避の手段!
帝王切開が通常分娩よりも楽な出産方法だと、一体誰が言い出したのでしょうか?
帝王切開は決して楽をするためのものではなく、赤ちゃん、そしてお母さんに起きうるリスクを最大限に避けるために取られる手段であり、楽だ、痛くないと言った批判に耳を貸す必要はありません!
どんな出産方法を選んだとしても、あなたがお腹で赤ちゃんを育み、この世に生み出したことには変わりありません。
そしてもっと言えば、出産後・誕生後に母子がより健康に生活できる為に選ばれるのが、帝王切開による出産です。
実際、日本での帝王切開の率は2割にのぼるというデータもあるほどですが、これは出産で母子の命を守るため、最大限のリスク回避を考えてのこと。
裏を返せば、昔はそれだけ出産で命を落とすケースが多かったのです。
普通分娩には普通分娩の、そして帝王切開には帝王切開の痛みや辛さ、注意点があります。
何より、産みかた・生まれかたに優劣は絶対にありません。
2人目を望む場合には、不安な点、気になる点を十分主治医と話し合い、出産時期のアドバイスなどを受けましょう。